Texas Instruments(TI)は5月1日、ソフトウェア開発を簡素化し、関連コストの削減に役立つ複数のリソースを供給する取り組みの一環として、最新の「Code Composer Studio IDE(統合開発環境)バージョン 6」を発表した。
業界標準のオープンソースソフトウェアフレームワーク「Eclipse」をベースとした「Code Composer Studio v6」は、数々の更新、特徴と統合ツール群により、さらに簡素なソフトウェア開発環境を提供する。Windows/Linuxの各OS上で動作し、数種類の無償オプションを含む他、複数の異なるライセンス選択を供給中で、組み込みマイコンの設計をより低価格で開始できる。また、同社のマイコン、ARMベースのプロセッサ、DSPをはじめとした組み込みプロセシング製品ポートフォリオと互換性を有する。
新しい特徴としては、使用を簡素化するとともに、開発期間の短縮に役立つ更新が行われている。App Centerは最新機能を提供するとともに、追加のTIソフトウェアパッケージを無償で統合。開発時に必要な機能だけをインストールできると同時に、必要に応じて、その他のアプリケーションを追加できる柔軟性も提供する。また、TI-RTOS、MSP430Ware、C2000 controlSUITE、TivaWare、GUI Composer、Sitara「AM335」プロセッサのPRU(プログラマブルリアルタイムユニット)向けのコンパイラ、その他のソフトウェアパッケージを利用できる。
Simpleモードは、ユーザーインタフェースを基本的な機能まで簡素化できる。これによって、初めて使用するユーザーでも、開発環境を素早く整え、その後で追加機能を利用できる。また、学習ツール群も強化された。Optimizer Assistantや、Ultra-Low Power Advisorをはじめとした学習ツール群の性能を向上させた他、コードサイズ、および消費電力の削減などを図っている。
さらに、高度に最適化されたCコンパイラにより、マイコン「MSP430」製品やARM向けの複数のGCC(GNUプロジェクトによる無償コンパイラ)の配布項目が統合されている。これにより、TIプラットフォームを採用する場合に、既存のGCC用コードの集積を簡単に活用できる。
そして、最新バージョンの「Eclipse」を使用し、供給される最新の補完製品との間に互換性を確保するとともに、「Code Composer Studio v6」での動作をより簡単に実現。1200種類を超えるサードパーティのプラグインによって、静的なコード解析、ソースコードのバージョン管理、モデリングやスクリプト開発などの製品開発がサポートされる。
この他、新しく統合されたオープンソースソフトウェアフレームワーク「Energia」は、わかりやすいAPI群、抽象化され、直覚的に理解しやすいライブラリ群、それに活発なコミュニティを提供する。マイコンベースのプロジェクトやアプリケーションの開発を簡単に開始することができ、「Energia」から、全機能内蔵の「Code Composer Studio IDE」に移行し、コードのデバッグや、その他のTIソフトウェアパッケージを利用することもできる。
なお、デバッグインタフェースを統合した開発ボードや、価格79ドルのデバックプローブ「XDS100」での使用向けの無償ライセンス版「Code Composer Studio」は現在供給中。また、マイコン「MSP430」のユーザー向けには、16Kバイトまでのコードサイズに限定されたTIコンパイラの制限付き無償ライセンス版、もしくはコードサイズの限定のないGCCコンパイラ付きの無償ライセンス版を供給中。さらに、TIのすべての組み込み用プロセッサ製品向けのフルプラチナライセンスは495ドルで供給中。この他、JTAGデバッガが不要な、LinuxやAndroidのアプリケーション開発向けには、無償で「Code Composer Studio v6」を供給している。