メルセデス・ベンツ日本は4月25日、同社の最高級クロスカントリービークル「Gクラス」に六輪駆動のドライブトレインを搭載し、オフロード性能を高めた特別仕様車「G 63 AMG 6×6」を開発、日本向けに2014年の生産枠として5台を確保し、2014年8月31日までの期間限定で注文の受付を開始したと発表した。
「G 63 AMG 6×6」は、1979年より発売が開始されたGクラスの歴史において、世界各国の軍用車両や防弾仕様車などの開発を通じて培ったさまざまな特殊車両技術を投入しており、6つの駆動輪と5つのディファレンシャルロックの採用のほか、アクスルやサスペンションの最適化、タイヤ空気圧調整システムの搭載などにより、砂地、岩場、水たまりなどの悪路を走破することが可能だという。
このうち六輪駆動のドライブトレインについては、オーストラリア軍などに納入している軍用車両の技術を転用しているとのことで、3つの車軸すべてとそれぞれの車軸間に搭載される5つのディファレンシャルギアすべてにロック機構を採用、センターコンソールの3つのスイッチを操作することで、急勾配や岩場をはじめとするあらゆるシーンで可能な限り最大のトラクションを確保することが可能だという。
また、防弾仕様車の技術をベースにした新開発の「ポータルアクスル」の採用により、最低地上高460mm、渡河深度1000mmを実現したほか、サスペンションには防弾仕様車で使用されている強化コイルスプリングと、ラリーレース用に開発されたガス封入ダンパーを採用することで、高い走行性能と運動性能、走行安全性を実現したとする。
さらに、乗用車としては初となる「タイヤ空気圧調整システム」を搭載。運転席からスイッチ操作で六輪すべてのタイヤ空気圧の調整が可能であり、砂漠などの柔らかい路面走行時には空気圧を減圧し設置面積を増やせるとのことで、通常走行時の空気圧から砂地走行に適した0.5バールまでの調整を20秒以下で完了することができるという。
このほか心臓部であるエンジンには、最高出力400kW/544PS、最大トルク760Nmを実現する最新のAMG5.5リッターV型6気筒直噴ツインターボエンジンを搭載。トランスミッションには素早いシフトチェンジを実現する7速A/T「AMG SPEED SHIFT PLUS」を採用することで、トラクションが途切れることなくダイナミックかつスムーズな走りを楽しむことができるようになっている。
なお、日本仕様車の装備として、COMANDディスプレイやインストゥルメントクラスタ内表示の日本語対応や、ボディサイズと日本の道路事情を考慮した360°カメラシステムなど、本国仕様には存在しない装備も搭載されているという。