ニプロと京都大学(京大)物質-細胞統合システム拠点(iCeMS)は4月25日、京大と日産化学工業が開発した2種類の機能性ポリマーを用いたヒト多能性幹細胞(ES/iPS細胞)の三次元大量培養法(スフェア培養法)向け培養バッグの試作品を開発したと発表した。

ヒト多能性幹細胞は再生医療などでの活用が期待されているが、高品質の細胞を安定的に大量供給するためには従来の培養法では難しかった。今回開発されたスフェア培養法では、従来の細胞継代時の細胞解離に使用される酵素処理ではなく、メッシュフィルターを用いた機械的処理による細胞株の継代法を確立し、高分子ポリマーであるメチルセルロースを培養液中に添加することで、細胞スフェア間の自発的融合を減少し、細胞塊の大きさを均一にすることに成功した。

また、別の高分子ポリマーであるジェランガムを添加することで、撹拌することなく浮遊させることが可能な三次元スフェア培養法の開発に成功している。

同方法で同社らが開発した200mL容量のガス透過性培養バッグを用いた培養では、108個の細胞数を獲得でき、多能性幹細胞を効率的に増殖生産できるシステムの開発が可能であることが示されたという。

なお同技術は、今後国内外で不可欠となる細胞大量生産にとって画期的な技術になると同社では説明しており、今後も再生医療や最先端医療への取り組みを推進することで、患者のQOL向上のほか、より安全で、環境に配慮した製品の開発、提供を行っていく方針としている。

ニプロと京大が開発した200mL容量のガス透過性培養バッグを用いた三次元スフェア培養