ヴイエムウェアは4月24日、同社が掲げるビジョン「Software-Defined Data Center」を国内市場でさらに推進するため、国内パートナー4社との新たなパートナーシップを含め、ネットワーク仮想化事業の拡大に向けた施策を発表した。
ヴイエムウェアの代表取締役社長を務める三木泰雄氏は、「ネットワークの仮想化は、これまでプロバイダーを中心に導入が進んできたが、一般企業でも関心が高まってきている。しかしその一方で、ネットワークの仮想化導入にはまだいくつかの障壁があり、われわれはこれらを解決することで、一般企業にもネットワーク仮想化の導入を拡大していきたいと考えている」と語った。
三木氏がいうネットワーク仮想化の導入の障壁とは、「導入・運用ノウハウの欠如」「技術者の不足」「見えないパートナーの実績」だ。これらの課題に対し、同社は「ネットワーク仮想化導入に向けたコンサルティングサービスの提供 」「『Elite Initiative』を立ち上げ、賛同パートナーと協調 」「ネットワーク仮想化に関する認定資格の立ち上げ(2014年内)」という施策を実施していく。
今回、同社のパートナープログラム「Elite Initiative」に参加したのは、伊藤忠テクノソリューションズ、ネットワンシステムズ、日立製作所、富士通の4社だ。
VMwareのCTOを務めるマーティン・カサド氏からは、Software-Defined Data Centerに関する説明がなされた。同氏は、「ITアーキテクチャはハードウェアによる定義とソフトウェアによる定義から選択できるが、ハードウェアによって定義されたアーキテクチャにおいては、ITがビジネスのスピードに対応できない。Googleなど、成功しているデータセンターは簡素なハードウェアを用いて、ソフトウェア定義のアプローチをとっている」と、同社がSoftware-Defined Data Centerを掲げる意義を語った。
Software-Defined Data Centerは「コンピューティング」「ストレージ」「ネットワーク」「マネジメント」という4つの柱から成る。カサド氏はネットワークの仮想化を行うべき理由は「スピード」「経済性」「セキュリティ」と3つあるが、最近はセキュリティを目的とした導入が増えていると述べた。
セキュリティ分野における課題について、カサド氏は次のように語った。
「現在、セキュリティ侵害の増加率がセキュリティ投資の伸び率を上回っているが、その原因に横断的な実行レイヤーが存在しないというアーキテクチャの課題がある。セキュリティ対策をソフトウェア上で行う場合は環境を分離できないという課題があり、ハードウェア上で行う場合はコンテキストを保持できないという課題がある」
このような分離した環境とコンテキストのギャップを埋めるのが仮想化技術というわけだ。
「仮想化によって可視化が高まることで、各種セキュリティ製品ではファイルを直接見て内容を把握することができるようになるため、即時で修正をすることが可能になる」とカサド氏。同社はセキュリティベンダーと協力して、セキュリティ製品を組み込んだ形でのネットワークの仮想化を目指すという。