米アカマイ・テクノロジーズは4月23日(米国時間)、2013年第4四半期(2013年10月~12月)の「インターネットの現状」レポートを発表した。同レポートではAkamai Intelligent Platformの収集データに基づき、ネットワーク接続性と接続スピード、攻撃トラフィック、ブロードバンドの利用動向と可用性、IPv6の導入状況といった主要な世界統計データに関する見解が示されている。

世界各国の平均接続速度は引き続き向上しており、前四半期比で5.5%向上して3.8Mbpsとなった。にもかかわらず、接続速度が速い世界上位10か国/地域中、上位4か国/地域を含む半数は、実際には前四半期比で名目上低下しており、その幅はオランダの0.7%減からラトビアの6.7%減であった。韓国では、平均接続速度が1.1%低下したにもかかわらず2四半期連続で首位の座を維持し、平均接続速度は世界トップの21.9Mbpsであった。

アイルランド(8.4%アップの10.4Mbps)および米国(2%アップの10Mbps)で平均接続速度が向上して10Mbps以上となったことにより、上位10か国/地域の全ての国/地域で、初めて平均接続速度が「高速ブロードバンド」の閾値以上となった。

全体としては、条件を満たす133か国/地域において前年比で平均接続速度が向上したことにより、2012年末から27%の向上となった。

韓国とアイルランドではそれぞれ前年比で57%と59%向上し、いずれも前年比50%超を達成した。上位10か国/地域中、年間向上率が最も小さかったのはシリアで、2013年中で11%増であった。

世界的な平均ピーク接続速度は2013年第3四半期の微減から持ち直し、第4四半期には30%向上して23.2Mbpsとなった。

条件を満たす138か国/地域において(うち上位10か国は全ての国で)、平均ピーク接続速度は第3四半期よりも向上し、その幅は韓国の1.3%から15.8Mbpsとなったリビアの179%の間であった。

香港と韓国の平均ピーク接続速度はそれぞれ68Mbpsと64.4Mbpsで最も高く、60Mbpsを超えたのはこの2つの国/地域のみだった。

前年比では、世界的な平均ピーク接続速度は2012年第4四半期と比較して38%の向上となった。

全体で134か国/地域で平均ピーク接続速度が向上し、その幅はチリの2.5%(20.3Mbps)からウルグアイの163%(36.7 Mbps)の間だった。平均ピーク接続速度が最も遅かったのはイランの5.5Mbpsで、第3四半期からは20%増、前年比では103%増であった。

第4四半期における世界的な高速ブロードバンド(10Mbps超)の普及率は二桁増を記録した前四半期より鈍化しており、今四半期の増加率は1.6%で普及率は19%にとどまった。

ただし前年比で見れば堅調を維持しており、世界的な高速ブロードバンドの普及率は2012年第4四半期から56%上昇している。

四半期比では、世界的なブロードバンド普及率は4.3%増であり、アカマイへの接続のうち55%は4.0Mbps以上であった。韓国およびスイスの普及率はそれぞれ94%と91%で首位を占めた。2013年末までに、条件を満たす全83か国/地域でブロードバンド普及率が前年比増となりました。その結果、2013年の世界的なブロードバンド普及率は前年比27%の増加となった。

2013年第4四半期にアカマイが攻撃トラフィックの発信源として観測したのは前四半期より3か国/地域増加し、188か国/地域だった。中国は引き続き攻撃トラフィックの発信源のトップとなり、前四半期比で35%から43%に増加した。

中国の次は米国で19%(11%から増加)、そして四半期比25倍増で10%を占めるカナダとなった。今年初めに首位に上り詰めたのとは対照的に、インドネシアから発信される攻撃トラフィックは第4四半期では引き続き減少し、第3四半期中の攻撃トラフィックのほぼ4分の1程度の5.7%となった。

集中的な攻撃が確認された第3四半期とは異なり、第4四半期には上位10か国から発信される攻撃トラフィックの量は増加した。攻撃の集中度は88%となり、2013年の第3四半期の83%からは増加、第2四半期の89%からは減少となった。

第4四半期において、ポート445(Microsoft-DS)は引き続き最大の攻撃対象ポートであり、確認された攻撃に占める割合は四半期比で30%増となった。ポート445は上位10か国/地域中、ドイツ、ルーマニア、ロシア、台湾、カナダ、米国の6か国/地域で最大の攻撃対象ポートとなった。

ポート80(WWW/HTTP)は攻撃の14%を占め引き続き2位、ポート443(SSL/HTTPS)は今四半期も引き続き3位であったが、攻撃に占める割合は前四半期比13%から8.2%に減少した。

アカマイのユーザーから報告されたDDoS攻撃の件数は、2013年第2四半期(318件)から第3四半期(281件)には減少したものの、同年の第3四半期から第4四半期(346件)には23%増となった。2013年全体では、1153件のDDoS攻撃の報告があり、2012年の768件からは50%増加した。

第4四半期に最も頻繁にDDoS攻撃の対象となった業界は引き続きエンタープライズおよびEコマースで、それぞれ159件と82件の攻撃を受けた。この2つの業界だけで今四半期に報告された攻撃件数の70%弱を占めており、攻撃総数のほぼ半数はアメリカ大陸のユーザーから報告されたものであった。

2013年第3四半期版インターネットの現状レポートでは、企業が一度DDoS攻撃の対象となった後に繰り返し攻撃を受ける可能性について検討を始めた。第3四半期には、繰り返し攻撃をうける確率は4分の1であると報告した。2013年第4四半期ではその確率は著しく上昇し、3分の1(35%)となった。

2013年第4四半期には、238か国/地域の7億8,000万以上のIPv4アドレスがAkamai Intelligent Platformに接続した。第3四半期からはおよそ3%、2012年の第4四半期からは10%増加している。上位10か国/地域のうち8か国/地域でも四半期比で増加が確認された。ブラジルが再び最も高い伸び率を記録し、ほぼ8%増(およそ2,700万のIPv4アドレス)となった。

IPv6の導入状況においては、米国と一部の欧州諸国が引き続き世界をリードしている状況で、上位10か国中7か国を欧州諸国が占めている。その他の地域からは日本とペルーのみが上位10か国にランクインしている。上位10か国中8か国で伸び率は2桁台となり、ペルーとドイツはそれぞれ41%増、43%増で最大の伸びを記録した。最も伸び率が低かったのはルーマニアで、前四半期比で約8%増であった。

引き続きカレッジや大学が他に先駆けてIPv6を導入しており、上位10か国のほとんどで、導入率は中程度から大幅に上昇している。アイオワ州、オーストリア国立ウィーン大学、サスカチュワン大学では、四半期増加率が2桁台を示した。

2013年第4四半期に調査の対象となったモバイルネットワーク・プロバイダーの平均接続速度には、最高8.9Mbps(ロシアのモバイルプロバイダーRU-1)から最低0.6Mbps(南アフリカのモバイルプロバイダーZA-1)までの幅があった。最高値は、2013年第3四半期の9.5Mbpsから微減となった。

アカマイでは、Akamai IOデータの第4四半期分の解析を行い、モバイルトラフィック・リクエストでどのユーザーエージェントが最も使われたかを確認した。セルラーネットワーク上のモバイルデバイスからAkamai Intelligent Platformへのリクエストのサンプルから収集したデータによると、Android Webkitがトラッフィックのおよそ35%を占めてトップとなり、これに29%超のApple Mobile Safariが続いた。しかしながら、セルラーネットワークに限らず全ネットワーク上のモバイルデバイスからのトラッフィックでは、Apple Mobile Safariがリクエストの47%超を占める一方でAndroid Webkitが占める割合は32%にすぎなかった。

エリクソンが収集したトラフィックデータによると、モバイルデータのトラフィック量は2012年第4四半期から2013年第4四半期の間に70%増加しており、2013年第3四半期から第4四半期の間ではおよそ15%増となっている。