日立製作所は4月23日、新たに開発したストレージ仮想化技術を搭載したエンタープライズシステム向け新ストレージプラットフォームとして「Hitachi Virtual Storage Platform G1000」(以下、「VSP G1000」)を、同日から全世界で販売開始すると発表した。
「VSP G1000」は、基本ソフトウェア「Hitachi Storage Virtualization Operating System」(以下、「SVOS」)により、新たな仮想化技術「global virtualization」を利用可能とする。「global virtualization」では、複数のストレージ装置を仮想的に1台のストレージ装置として見せることができる。
これにより、仮想サーバを正副のシステム間で移動でき、サーバの負荷分散やメンテナンスが容易になるほか、災害時において、正副のシステム間の切り替えが高速になり、迅速にシステムを復旧することができる。
さらに、旧ストレージシステム(「VSP」、「Hitachi Universal Storage Platform V」、「Hitachi Universal Storage Platform VM」)と「VSP G1000」を組み合わせて利用すれば、業務システムを停止することなく新旧のストレージ装置のデータの入れ替えを行うことが可能になる。
同社のストレージ仮想化技術は、これまでは、他社製を含む配下のストレージ装置を仮想的に取り込み、1つのリソースプールとして利用できたが、今回の「global virtualization」では、これを包含し、離れた場所のあるストレージシステムを1台の装置として見せることを可能にする。今回提供するのは2つまでだが、今後は4つ、8つと拡張していくという。
このほか、「VSP G1000」では、プロセッサーボードの改良により、従来製品比で、データアクセス性能が約3倍の300万IOPS以上に向上。また、「VSP G1000」が搭載されているラック間を、ケーブル長で最大100mまで離して設置可能にした。
さらに、大容量HDD(Hard Disk Drive)を採用し、記憶容量あたりのエネルギー消費効率を向上させ、製品ライフサイクル全体のCO2排出量を従来製品比で38%削減する。
価格(税別)は「VSP G1000」が1億1,379万円~、SVOSが1,600万円~、ストレージ階層仮想化機能を提供する「Hitachi Command Suite Data Mobility」が470万円~。
日立製作所 情報・通信システム社 プラットフォーム部門COO 兼 ITプラットフォーム事業本部長 橋本崇弘氏は 、「現在、ITインフラとして、グルーバルスタンダードでサーバ、ストレージなどを包括的に提供するワンストップソリューション、利用者が快適なサービスを受けられていく仕組みや現場のノウハウをITがシステムが蓄積する仕組みが求められている。我々は、ストレージ単体ではなく、ソリューションとして提供し、統合プラットフォーム、ビッグデータ、クラウドプラットフォームサービスに注力している。今後は日立の強みである情報通信サービスと融合させていきたい」と述べた。