社内のコミュニケーションを変革し、イノベーションを起こすため、「企業向けソーシャル」を活用する企業が増えている。FacebookやTwitterのようなソーシャル・ネットワーキングが持つ技術や文化を、セキュリティやコンプライアンスの問題をクリアしつつ、業務へ取り込むのだ。
ジャイブソフトウェアの企業向けソーシャルプラットフォーム「Jive」は、企業のあらゆるコミュニケーションを統合するソリューションとして注目されている。Jiveと企業向けソーシャルの魅力については、「コミュニケーションを統合し業務効率化を実現する企業向けソーシャルの活用ポイント」を参照していただきたい。
今回は、実際にJiveを企業内に展開するにあたって、最も懸念される「既存のコミュニケーションシステムをどうするか」という疑問を解消しよう。
乱立するシステムのハブとして情報のインデックスを提供
多くの企業では、メール、スケジューラーといったツールに加えて、ワークフローやデータベース、ファイル共有などさまざまなツールやソリューションを導入していることだろう。同じ目的のシステムを部門ごとに個別に導入して利用していることもあるだろう。問題は、こうしたツール類が乱立することで情報が分散してしまっていることである。
このような環境では、どこにどのような情報があるかというインデックスは、ユーザーの頭のなかに置かざるを得ない。そのインデックスを上手に扱えるかどうかが、仕事の善し悪しにつながってしまっているのが現状だ。
Jiveは、これらのシステム間のハブとして動作し、エンドユーザーにインデックスを与えることで、コミュニケーションや情報の活用を円滑にするシステムである。そのため、以前からあるものから最新のものも含めてさまざまなシステムとの親和性が高く、統合的かつ横断的に情報を管理することができるようになっている。
また、APIやSDK、アプリ開発フレームワークなども提供されているため、独自のアプリケーションとの連携やインタフェースの開発なども可能である。さまざまなスマートデバイスをサポートするため、モバイルへの展開も容易だ。
既存のシステムを生かしJiveを学びながら移行する
企業向けソーシャルは、エンドユーザーである社員が育てる“文化”である。そのため、急激なシステムの変化を強いる方法では、イノベーションを起こすことはできない。そこでポイントとなるのが、既存のシステムのメリットを生かしつつ、自然な形で移行することである。
そこで、1つの導入方法として「併存モデル」を採ることができる。ここで、IBM Notesとの併存を例に取ると、「Notes優先モデル」「Jive優先モデル」「JiveとNotesメールの融合」という3つの基本パターンが用意されている。
Notes優先モデル
これらのモデルでは、NotesとJiveを統合することはなく、それぞれスタンドアロンで稼働させつつ、機能のみを振り分ける。
Notes優先モデルでは、Notesを「コラボレーション」ツールとして、次のような機能を利用する。
- メールと予定表
- チームとプロジェクトのコラボレーション、ドキュメント共有
- 申請/承認ワークフロー
- ディスカッションフォーラム
またJiveは、「企業ソーシャルネットワーク」プラットフォームとして、次の用途に用いる。
- 人物プロフィール
- フォローとつながり
- 個人ブログ
- アイディエーション
このモデルでエンドユーザーは、WebブラウザやモバイルでJiveを使用するほか、標準のメール通知を通じてJive上のコンテンツを参照することができる。既存のシステムはそのまま、Jiveの利点と融合していくだろう。
Jiveの役割として最も大きいのは「Know Who」、すなわち「ある特定の情報をだれが持っているか」というインデックスを与えることだ。
従来は、“だれがその情報に詳しいか”ということを知っている人物を探すことから始めなければならなかった。しかし、Jiveの持つこれらの機能を活用することで、こうした無用なプロセスを大幅にカットすることが可能となる。まず、Notesに足りないものを補うことから始めようという導入方法だ。
Jive優先モデル
Jiveの能力をさらに活用したい場合、Notesでは次の「主なアプリケーション」のみを利用する。
- メールと予定表
- 申請/承認ワークフロー
Jiveには、「ポータルとソーシャルコラボレーション」を実現するツールとして、次のような仕事を与える。
- 企業ソーシャルネットワーク
- チームとプロジェクトのコラボレーション
- ディスカッションフォーラム
- 部門ポータル
- 企業コミュニケーション
エンドユーザーは、主にWebブラウザやモバイルからJiveを利用するが、Jive for Office / Outlookインテグレーションを活用することで、Microsoft OfficeやOutlook上でJiveの作業を行うことができるようになる。Notesアプリは、Jiveのナビゲーションから呼び出すことが可能だ。
前述したように、メールや予定表、ワークフローといった使い慣れたツールは、急激な変化を与えるべきではない。ここであげたJiveの活用を広めつつ、企業向けソーシャルの重要度を高めていくことで、最終的な移行のハードルを下げることができるはずだ。
メール統合モデル
このモデルにも、JiveをNotesメールに統合する方法と、NotesメールとアプリケーションをJiveに統合する方法の2つがある。
Notesのメールクライアントを使用している場合は、前者のモデルを活用するとよい。サードパーティの「IBM Notes Social Connector for Jive」を利用することで、Notesのデスクトップクライアントからディスカッションやステータスアップデート、メッセージなどのJiveの機能やコンテンツにアクセスできるようになる。
IBM Notes Social Connector for JiveでNotesメールの画面にJiveのウィンドウを追加できる
後者のモデルは、Jiveのアドオンフレームワークを使って、IBM Notesの機能や情報をJiveのインタフェースに統合するものだ。例えば、JiveコミュニティからNotesの予定表を操作することができれば、関係者を招待しながら予定を作成できるため、Notes側で別途配布リストを管理する必要がない。
既存のコラボレーションシステムをJiveへ移行する場合には、移行する機能と既存のシステムに残すべきものを明確に分類しておくべきである。管理者が明示的に停止しない限り、同じ機能を既存のシステムとJiveとで同時に利用させることも可能であるため、テストや移行期にうまく活用するとよいだろう。
ディスカッションフォーラム
既存のフォーラム機能に加えて、一般的なSNSにあるような「いいね」「共有(シェア)」「ブックマーク」といった機能を使えるようになる。またJive特有の「役に立つ」「正解」「アクション」「決定」といったマークを付けることも可能だ。質問であれば、最良の回答を「ベストアンサー」にマークすることで、検索が容易になる。
チームとプロジェクトのコラボレーション
Jiveの「グループ」は、Notes「TeamRoom」の機能を包括しつつ、より多くの機能を有しているため、コンテンツを移行するだけでよいだろう。中でも、外部ユーザーをメールで安全に招待する機能、ドキュメントのバージョン管理機能と「最終版」「公式」マークの付与、タスク管理機能、Officeドキュメントを共同編集する機能などは効果的だ。
個人ブログ
Jiveでは、グループやスペース、プロジェクトと同様に、個人でもブログを所有することができる。投稿の閲覧回数や新規閲覧者数、いいね!・共有・ブックマーク・コメントの数などによって、他のユーザーへの影響度を測る「インパクトメトリクス」という機能が搭載されている。コンテンツの貢献度がわかるため、ユーザーの利用促進につながるはずだ。
各機能をJiveへ移行する際には、ユーザー主導の移行とコンテンツ主導の移行という2つのアプローチを採ることができる。特に前者は、エンドユーザー自身が各コンテンツの移行を都度判断させる仕組みであり、IT部門による移行プランニングや作業が必要ないためコストを抑えることが可能だ。
完成されたドキュメントや整然としたデータベースだけが、企業にとって貴重な情報ではない。コミュニケーションやコラボレーションの途中経過にある情報を活用することで、ビジネスの速度や精度、価値をいっそう高めることができるはずだ。
Jiveは、システムの併存や移行も柔軟に対応しつつ、システム間のハブとして高度な情報インデックスを提供する画期的なソリューションである。