信越化学工業は4月21日、ベトナムにレア・アースマグネットの製造工場を新設することを発表した。新工場の生産能力は年産2千トンで、設備投資額は約120億円。
新工場は、信越化学のベトナムでの子会社であるシンエツ マグネティック マテリアルズ ベトナムが同国ハイフォン市に所有する土地に、2期に分けて建設する。2014年10月に着工し、第1期分は2015年9月に年産1千トン、第2期分は2016年9月に年産1千トンの工場が完成する予定だ。
新工場建設の目的は二つあり、一つは生産拠点を複数化し需要家への安定供給を確保することで、もう一つは自動車用途を中心に拡大が見込まれる需要を着実に取り込んでいくことだという。レア・アースマグネットの製造工程は、「焼結」と「加工」の二つの工程に大別されるが、これまで信越化学のレア・アースマグネットの生産拠点の中で焼結工程を有しているのは、福井県の武生工場の一拠点のみだった。今回ベトナムに新設する工場には、武生工場と同じく焼結工程を設ける予定で、同工程を複数化することでリスクの分散を図る。なお、新工場の建設により焼結工程の生産能力は1.5倍程度となるとしている。
信越化学グループのレア・アースマグネット生産拠点と製造工程 |