日本マイクロソフトはSQL Server 2014を発売開始を記念して、4月18日、東京・品川で発売記念フォーラムを開催。基調講演では、米Microsoft コーポレート バイス プレジデント 沼本健氏が「ビッグデータ活用を成功に導く鍵」と題して、基調講演を行った。

米Microsoft コーポレート バイス プレジデント 沼本健氏

同氏は冒頭「SQL Serverは、これまで大きな成功を収めているプロダクトだ。売り上げは年間50億ドルを超えており、2桁成長を遂げている。手応えを感じている製品だ」と、SQL Serverが同社の重要なプロダクトであることを強調。

続いて「マイクロソフトは、ビッグデータは一部のデータサイエンティストに限られたものではなく、社員の誰もが扱えるようにする必要がある」と、ビッグデータの民主化の必要性を訴えた。

ただ、データを使ってスマートなユーザー体験を実現するためにはテクノロジーギャップという課題があると指摘。これを解決するためには、人、データ、分析の3つの要素考えていく必要があり、キーワードは「インメモリ機能」、「ハイブリッドクラウド」、「ビッグデータの民主化」だと指摘した。

インメモリ機能はSQL Server 2014の目玉といえる機能だが、沼本氏は基調講演のなかで、この機能によりOLTP処理は最大30倍、スター結合における性能向上は最大100倍にと、大幅なレスポンス向上が期待てきる点をアピールした。

インメモリ機能の効果

SBIリクイディティ・マーケット 代表取締役社長重光達雄氏

FX取引を数多く行っているSBIリクイディティ・マーケットでは、取引データベースのパフォーマンス向上を目指し、SQL Server 2014の早期検証プロジェクトに参加。

フォーラムでは、代表取締役社長の重光達雄氏が登壇。その導入効果を「弊社の昨年の取引額は610兆円だが、システムはマイクロソフト製品で構築されており、現在はSQL Server 2008 R2を利用したシステムになっている。その処理量は最大20万/秒トランザクションだが、SQL Server 2014のインメモリのOLTPを利用することで、30倍に性能が向上し、これまで1日かかっていた分析は、ほぼリアルタイムで行えるようになった。今後は、新システムを使って、世界のどこでも取引ができる金融市場を構築していきたい」と説明した。

SBIリクイディティ・マーケットでの効果

また、ソーシャルゲームの開発を行うgloopsも早期導入を実施。同社はユーザーのゲーム行動を分析するためのDWH作成やユーザーランキングの作成に利用している。同社ではクラスターインデックス機能を利用することで、テーブル容量を55GBから2.8GBに圧縮できたほか、ランキングの生成時間を12分から3秒に短縮したという。

gloopsでの効果

2つ目のキーワードのハイブリッドクラウドについて沼本氏は、オンプレミスで発生したデータをクラウドで処理、またその逆もでき、格納先を選ばないと主張。これにより、クラウド(Microsoft Azure)を利用した災害対策(DR)とバックアップが行えるとした。SQL Server 2014では、セカンダリレプリカがこれまで4台から8台までに拡張され、フォーラムでは、数十秒でフェールオーバーする様子を実演した。

Microsoft Azureを利用した災害対策(DR)とバックアップ

3つのキーワードの「ビッグデータの民主化」では、使いなれたExcelと、それに組み込まれた「PowerPivot」「Power View」ツールにより、データモデリングと可視化が行える点をアピール。これにより、誰でもビッグデータを利用できるとした。

「PowerPivot」と「Power View」によるデータモデリングと可視化

また基調講演では、富士通、NEC/SCSK、デル、日本HP、日本IBMなど10社から、SQL Server 2014を搭載したSSDアプライアンスが順次出荷されることや、ビットアイルからSQL Server 2014採用のデータ分析クラウドサービスが提供されることもアナウンスされた。

10社から提供されるSQL Server 2014を搭載しSSDアプライアンス