ITおよび通信分野に特化した調査会社であるIDC Japanは4月21日、国内パブリッククラウドサービス市場予測を発表した。それによると、2013年の国内パブリッククラウドサービス市場規模は、前年比37.4%増の1302億円。今後も継続して拡大を続け、2018年の同市場規模は、2013年比3.0倍の3850億円になると予測している。
IDCによると、従来のクラウドは、一般消費者向けWebサイトをはじめとする新規のアプリケーション/システム領域向けがほとんどだったが、2013年は既存のアプリケーションやシステム領域にも広がりを見せたという。
また、同社は、IT導入時にパブリッククラウドもしくはプライベートクラウドを第一の選択肢として検討する企業が増えているとも分析。「"クラウドファースト"元年となった」と振り返ったうえ、これまでなんとなく棲み分けされていたパブリッククラウドサービスと従来型のIT製品/サービスに直接的な競合状況が発生し始めたと説明している。
IDCは、こうした状況の変化が、複数のクラウドを総合的に連携/管理するハイブリットクラウドの普及を促進するとの見解を示している。さらに同社は、ハイブリットクラウドの時代は多様な顧客の要望に応えるために市場の多様化/細分化すると予測。そうした変化がさらにユーザーの需要喚起と市場の拡大を促すとしている。
一方、ベンダーにとっては、市場の多様化/細分化により、多品種/少量販売が求められるため、売上原価と販売管理費の効率化が困難になる。IDC・ITサービスリサーチマネージャーの松本聡氏は、「継続的な成長のためには、収益モデルの見直しが必要である」と述べている。