「割引以外の方法で、新しいお客さまをお店に呼び込みたい。」「ネットじゃなくて、店頭で買ってほしい。」そんなときに参考になる、パルファム ジバンシイのキャンペーンをご紹介します。

こんにちは、SMMLab ゲストライターの柴です。

今年の初旬に、化粧品ブランドのパルファム ジバンシイ(以下、GIVENCHY)がFacebook上で「Lucky Eye Campaign」というキャンペーンを実施していました。 総勢14,855名もの人が参加したこのキャンペーンは、新しいお客さまを店頭カウンターに呼び込むという主旨のものでした。

今回は、GIVENCHYが多くの人を集めた秘訣や、新たなお客様を店頭に呼び込むための仕掛けに迫りたいと思います。

【Lucky Eye Campaign ~色と質感で遊ぶ、クチュールアイ~ キャンペーン概要】
GIVENCHY初のクリーム アイシャドウ「オンブル・クチュール」の発売を記念した、スピードくじのような仕組みのキャンペーン。モニプラfor Facebookを利用して行われました。
賞品は「オンブル・クチュール」100名分。百貨店のカウンターで、“クチュール アイ”を試せる「クチュール アイ 体験チケット」を10,000名分。
キャンペーンURL:https://www.facebook.com/givenchybeauty.japan/app_196266070409836(現在は終了しています。)

ハイブランド×スピードくじ、ミスマッチ?な組み合わせの奥にある意図

一般的なプロダクト同様、昨今、化粧品を購入するチャネルも以前より多様化しています。特にネット世代の20代のお客様に数多くのブランドの中から選んでいただき、店舗に足を運んでもらう機会をつくることは難しい傾向にあります。

今回ご紹介するGIVENCHYのキャンペーンは、そんな20代にぴったりなキャンペーンとも言えるでしょう。

単純に当選者をゲームで選び出すだけではなく、同時にラッキーカラー占いを加えています。キャンペーンにゲーム性を持たせることで、若い層にもとっつきやすく、楽しめるような企画になっているのです。

▲キャンペーンのスロットゲーム画面キャプチャ

実際、キャンペーンの参加者は、25~29歳女性が全体の21.5%と最も多く、次いで30~34歳女性が18.3%という結果が得られたようです。

ハイブランドにスピードくじという、一見ミスマッチに見える組み合わせですが、その奥には狙いを定めた相手に、いかに参加してもらうかという企画意図が見えてきますね。

ただのハズレ画面じゃ、もったいない

“スピードくじ”なので当然ながら、くじを引いた参加者には「当たり/はずれ」の結果が示されます。

GIVENCHYのキャンペーンでは、「はずれ」の画面も商品訴求に有効活用していました。 「今日のあなたのラッキーカラーは」と占いをかたどり、新商品であるオンブル・クチュールを紹介していたのです。

一日一回、毎日チャレンジできるというスピードくじだからこそ、何種類もの商品カラーバリエーションを見せることができます。

▲ハズレ画面の一部 アイシャドーの色をラッキーカラーとして紹介している。

この取り組みは、参加者に飽きられないようにするという意味でも、効力があります。

キャンペーンへの1日の平均参加者数は707名となっており、モニプラ平均の3.7倍と非常に高い数値をたたき出していたとのこと。

また、キャンペーン終盤でも参加者数が落ちることがなかったそうです。

サービスを「チケット」化して、大量のプレゼントを生み出す

このキャンペーンが成功した大きな要因として挙げられるのが、商品をプレゼントするという賞のほかに、副賞として百貨店ジバンシイカウンターで“クチュール アイ”を試せる「クチュール アイ 体験チケット」を10,000名分設けたことにあります。

この副賞の効果は2つあります。

効果(1)Facebook上で多くの人を集める

当選者数が万単位になる規模のキャンペーンは、他と並んでも目を惹きます。自分が当たるという期待感を持ってもらいやすいうえ、インパクトも大きいのです。 結果的に、本キャンペーンには総勢14,855名が参加したうえ、期間中にGIVENCHYのFacebookページが獲得した新規ファン数は、21,930件にものぼっています。

効果(2)カウンターへの来店につなげる

「クチュール アイ 体験」はチケットがなくとも、カウンターで行われるメイクアップサービスです。それを「チケット」化しプレゼントにすることで、よりサービスの価値を高め、カウンターへ来店してもらおうということなのです。 実際に当たった人からは、
「こういうの当たるといきやすい」
「うわお!当たった♪デパートのジバンシイカウンター行かなきゃ!」
「当たった??GIVENCHY中学生の頃から好きだったのでたまらなく嬉しいです!発色とか気になります!」
といったコメントが寄せられていました。

カウンターで商品を試すことのハードルを下げたり、当選したことに喜んでいる様子がうかがえますね。

▲体験チケット当選画面 送信されるメールでは、カウンターの案内や混雑時の時間帯などを伝えていた。

このチケットがきっかけでカウンターに足を運んだお客さまも多そうですね。
接客を受けるうちに、商品購入に至るケースもあったのではないでしょうか。

本物のファンを育てる入口をひらく

ネットとリアル、扱う「商品」は同じでも、その価値に大きく差が生じるのが化粧品です。
接客を受ければ、正しい商品の使い方や、自分にあったメイク方法も会得することができます。

そういった意味で、ブランドの本物のファンを育てるにはネット上のコミュニケーションだけでは力不足。むしろカウンターに来てもらったところからが勝負です。

スピードくじで大量当選という、ハイブランドにとっては挑戦的な手段で、お客さまをカウンターに呼び込んだ本キャンペーン。
直接的な売上への影響はもちろんですが、「本物のファン」を育てる入口をひらくという点でも、効果があったのではないでしょうか。

ライター紹介

柴 佳織(Kaori Shiba)

企業のFacebookページのコンサルティングから、解析・運用支援などを行う。また、Facebookマーケティングのライターや講師も務めている。

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