東芝メディカルシステムズは4月11日、PET装置(陽電子放射断層撮影装置)とCT装置(コンピュータ断層撮影装置)を一体化させたPET-CTシステム「Celesteion」を発表した。

PET-CTシステムは、CTの形態画像とPETの機能画像を組み合わせたモダリティシステムとして、現在ではがんの診断に欠かせない画像診断装置となっている。国内での検査数も年々増加しており、今後はがんの初期診断、病期診断、治療方針の策定だけでなく、治療効果判定や治療計画においてもPET-CTの必要性がますます高まってくると考えられる。

近年、PETの画質を向上させるTOF(Time of Flight)技術やCT被ばく低減技術など、PET-CTシステムの技術革新が進んでいる。そこで今回、これら最先端技術を搭載することにより、がんの診断を主とする臨床で求められるPET-CTシステムとして、同製品を開発したという。

TOF(Time of Flight)とは、対消滅ガンマ線の発生点を特定する技術であり、これにより画像のコントラスト、S/N比が向上する。「Celesteion」は、一体型のPET検出器モジュール、光学系や回路・処理系の最適化設計により、TOFにおける画質改善効果の重要な指標である時間分解能において450ps以下の性能を実現し、従来型のPETよりも高いコントラスト、S/N比の画像を得ることができる。さらに、CTは高精細0.5mm×16列(32スライス)、0.5秒回転を実現する従来製品「Aquilion」シリーズの基本スペックと、最大約75%の被ばく低減を実現する独自技術「AIDR 3D」を標準で搭載しており、日常の臨床で求められるPET-CTシステムのパフォーマンスを実現する。

PET-CT検査は、CT撮影の後に連続してPET撮像を行い、10~20分程度のスキャン時間となる。そのため、ガントリ内での心理的不安を軽減し安心した検査を提供できることは患者にとって重要と考えられる。「Celesteion」は、CT部が直径90cm、PET部が88cmというPET-CTシステムとしては最大のガントリ開口径を採用しており、快適な検査環境と、全身検査に適した広いFOVを提供する。また、大開口径により、ポジショニングの自由度も広がるため、フラット天板(オプション)や固定具を使用した体位でのPET-CT撮影も可能となり、異なる装置間で同一の固定具を使用することで、患者の位置の相関性が高精度に保たれる。

また、「Celesteion」は、PETとCTの一体型ガントリで構成されており、コンパクトな設置スペースを実現している。さらに、寝台と移動ベースを組み合わせることで、寝台天板の位置ずれによるPET画像とCT画像の物理的なずれが排除され、定量性が高いPET画像や精度が高いフュージョン画像が得られる。

PET装置とCT装置を一体化したPET-CTシステム「Celesteion」