最近のCMは、商品そのものを前面に出したものではなく、メッセージやコンセプトを伝えるためのイメージ的なものが増えている。中には映画の予告編を彷彿させるような、クオリティの高い"魅せるCM"もある。今回は、Youtube上にアップされている、思わず見入ってしまう、ストーリー性の高いCM5本をピックアップして紹介してみたい。

NISSAN presents HAPPY SURPRISE ママに贈る ドライブ イン シアター


日産のデイズルークスのPR映像のための撮影だと思い込んでいるお母さんに、子供たちが車中、旅先で様々なサプライズな仕掛けをする。無邪気に一生懸命、でもどこか淡々とした様子で、お母さんを驚かせよう、そして励まそうとする子供たちの姿が微笑ましく、ジワジワとした感動が湧いてくる。ママたちにとっては涙なしには見られない。このサプライズをお母さんに仕掛けるヒナタくんは、緊張すると歌を忘れてしまうので、撮影現場の大人たちは全員ヒヤヒヤものだったという。ちなみにこの企画は、DAYZ ROOXの「MOMをWOWにする軽自動車」というコンセプトを伝える上で、ターゲットであるママたちの心を動かす、単なる機能に寄らないエモーショナルな表現が必要だと考え制作されたもので、放送作家の鈴木おさむ氏がプロデュースしたことでも話題となっている。

1 more Baby応援団


第2子について話し合う夫婦。そして「妹が欲しい」とせがむ長女。現実的な妻が第2子出産を拒む中、“未来の弟”が登場。シニカルな攻防が繰り広げられ、緊張したムードだった家族会議が一転。ほっこりとした笑みと涙がこぼれそうになる、胸を打つホームドラマ。映像の最後にタマホームの文字が出るまでCMと気づかないほどだ。

totokoho


バスケットボール部に所属する男子学生。苦しい練習にも耐えてきながら、引退試合に出場できなかった悔しさと挫折をせつなく描いた映像。試合中のリアルタイムの映像と、過去の回想映像が交錯する中、一瞬だけ夢想する映像が挿し込まれることで、現実の厳しさを痛感しなんとも言えない気持ちに。学生時代に部活に励んでいた人なら思わず共感してしまう"作品"に仕上がっている。

KONICAMINOLTAMAN


冷徹で厳しい女上司にしごかれる若手女性社員の成長を描く。女性社員をそっとサポートする、プリンターから飛び出した空想上のキャラクター“コニカミノルタマン”の存在など、プリンターをフックにファンタジックな世界観が築かれる。次第に明らかになる、女性上司の秘めたる深い優しさにも心が奪われる。約9分にも及ぶ長編CMだ。

ペプシネックス ゼロ『桃太郎「Episode.ZERO」』篇


テレビで放送されるやいなや、話題になったこのCM。日本の昔話『桃太郎』を、『西遊記』や『三国志』、『パイレーツ・オブ・カリビアン』といった冒険譚を彷彿させるパロディ的映像で表現。壮大なスケール感と現代風なアレンジが、短い尺に凝縮されており、その巧みさに思わずうならせられる。3月7日にYoutube上に公開された同CM映像は、すでに100万回以上再生されている。