ロームとアットマークテクノは4月10日、電源レスかつ配線レスの無線通信規格EnOceanを活用したIoTゲートウェイ向け開発キット「CS-A420W-ENOCEAN」を共同開発したと発表した。

無線通信規格EnOceanは、光や温度、振動など比較的微弱なエネルギーを集めて電力に変換するエネルギーハーベスト技術(環境発電技術)の1つで、変換した電力で無線通信する国際規格(ISO/IEC 14543-3-10)である。電源レス、配線レスのエコな無線技術としてスマートホームやビルオートメーション分野で注目され、世界中で急速に普及が進み、特に欧州では、ビルや工場などの照明システムやセンサネットワークとして40万棟以上の採用実績がある。

同開発キットは、ARMプロセッサを搭載し、Linuxに対応するアットマークテクノ製組み込みCPUボード「Armadillo-420」をベースにEnOceanの各種センサモジュールをセットしたもので、無線LANや有線LANを通じてインターネット接続することが可能。1個からの購入が可能でサポート体制も充実しているため、クラウド連携まで視野に入れたIoT(Internet of Things)ゲートウェイの実現・導入を容易にする。

さらに、「Armadillo」のARMプロセッサを活かし、データロガーやデータ解析などのインテリジェントな付加機能を追加することもできる。両社は、「Armadillo」をIoTゲートウェイとしてEnOceanセンサとセットで提供していくことを通じ、EnOceanのさらなる普及促進を図っていきたいと考えている。

なお、「CS-A420W-ENOCEAN」には、「Armadillo-420」WLANモデル開発セット(無線LANモジュール付き)、EnOcean受信用USBモジュール、EnOceanセンサセット(スイッチセンサ、マグネットセンサ、温度センサ)が含まれている。価格は6万2000円(税抜き)。ローム製品およびアットマークテクノ製品の両方を取り扱っているコアスタッフが販売している。いずれもそのまま製品化に採用可能な仕様で、量産の相談や技術的な問い合わせについてもコアスタッフで受け付けている。

電源レス、配線レスの無線通信規格EnOceanを活用したIoTゲートウェイ向け開発キット「CS-A420W-ENOCEAN」