東北大学は4月7日、高い電気伝導性を持った新規材料として、3次元ナノ多孔質グラフェンを開発したと発表した。
同成果は、同大 原子分子材料科学高等研究機構の伊藤良一助教、陳明偉教授らによるもの。同研究機構の谷垣勝己教授、田邉洋一助教、高橋隆教授、菅原克明助教らと共同で行われた。詳細は、ドイツ科学誌「Angewandte Chemie International Edition」オンライン版に掲載される予定。
これまでの3次元炭素材料は、非結晶性不連続体(粉状)のため電気をほとんど通さなかった。これに対し、今回結晶性の高い1枚の繋がった3次元グラフェンシートを作成することで高い電気移動度を達成したという。今回の3次元ナノ多孔質グラフェンは、立体構造を持つナノ多孔質金属を鋳型として、その上に化学気相蒸着法を用いてグラフェンを成長させることにより、2次元物質であるグラフェンに3次元構造を持たせた厚みのある物質となっている。
この3次元ナノ多孔質グラフェンの電気デバイス特性を調べたところ、電子移動度が最大で500cm2/Vsを示しトランジスタで必要とされている性能値200cm2/Vs以上であることがわかった。今回の成果は、今後炭素材料を使って3次元デバイスを作成する上での非常に重要な成果と考えられ、シリコンに替わる3次元デバイスの開発が期待されるとコメントしている。