傘を忘れた時や、思いがけぬ雨に見舞われた時に重宝するビニール傘。使い捨てにしては立派すぎる物もあり、ちょっと気がひけてしまうことも…。とはいえ、湿気が多い日本では、一度濡れるとあとがやっかいなため、どうしてもお世話にならずにはいられません。
では、海外のみなさんは同じような状況になった時、どんな雨具を使うのでしょうか。日本在住の外国人20名に「母国でビニール傘に相当するような手軽な雨具」について聞いてみました。
■傘よりK-WAYを使います。(フランス/30代後半/男性)
「K-WAY」とはフランス産のレインウェア。現地では、雨具イコールK-WAYの認識が当たり前というほどの有名ブランドです。実は、フランスの小学校では、傘は尖っていて危ないという理由から、学校での利用を禁止されています。そのため、雨はフードやレインウェアで凌ぐという認識が普通。だからこそ、大人になっても傘よりレインウェアを使うのが普通になっているようです。
■折り畳み傘(中国/30代前半/女性)
■折り畳み傘(スペイン/30代後半/男性)
■折りたたみ傘(インドネシア/30代前半/女性)
洋傘の普及によって生まれた折りたたみ傘は、1932年にドイツで考案されました。かつては2つ折りが一般的でしたが、最近は「totes」の3つ折りなど小さく畳めるもののもあり、より便利に。軽量化や素材の開発も進んで、バッグに入れても邪魔にならないものが増えています。
■色が黒の傘。(トルコ/20代後半/女性)
■普通の色がついてる傘です。(インドネシア/30代後半/男性)
■普通の安い傘。(イタリア/30代後半/女性)
■傘。(イギリス/40代後半/男性)
オーソドックスながら、海外と日本の傘に対する扱いの違いが見える回答かもしれません。ヨーロッパではかつて、傘は富と権力の象徴として扱われる贅沢品でした。元から安価ではないものだけに、海外での「普通の傘」こそが日本の気軽なビニール傘と同等である、と考えるとよさそうです。
■ビニール傘。(アメリカ/30代後半/男性)
■ビニール傘。(韓国/40代後半/男性)
■ビニール上着。(オーストラリア/40代前半/男性)
比較的、日本人と感覚の近い回答です。同じレインウェアの括りでも、ビニールのレインコートはグッとビニール傘に近い印象になるから不思議です。ちなみにビニール傘は最近の発明家と思いきや、1950年代の生まれ。1960年代にはアメリカに輸出され、ニューヨークでは飛ぶように売れたんだそう。アメリカの方の回答には、こんな背景があるのかもしれないですね。
■スウェーデン人は傘をあまり使わないので、デザインに対するこだわりもあまりないです。(スウェーデン/40代後半/女性)
■そもそも雨具を使いません。降ってもスコールですぐ止むので(スリランカ/50代後半/男性)
■傘。ただ雨具はあまり持ち歩かず、雨が降っている時は皆雨宿りをしてやむのを待ちます。(ブラジル/50代前半/女性)
理由に気候的なもの、文化的なものが関わる回答です。スウェーデンでは降水量が日本の約3分の1という気候、スリランカはスコールとカラッとした気候で濡れてもすぐ乾いてしまう気候から、傘を持たない人が多いようです。また、雨宿りして待つのが普通だというブラジルの大らかさ。傘の扱いひとつ取っても国民性が出るんだなと微笑ましい気持ちになりますね。
■ありません。傘もまともなもので、ビニールコートもレインシューズもめったに使わないと思います。(ロシア/20代後半/女性)
■手軽なものはありません。(ドイツ/30代後半/男性)
■いいえ。その点で日本のほうが便利です。(ポーランド/20代後半/女性)
こちらは特になし、という回答。ここまで気軽に扱えるものを作ってしまうのは、やはり日本ならではなのかもしれません。
コンビニやドラッグストアに並ぶ白いビニール傘はとっても気軽。でも実は、和傘と洋傘の成り立ちの違いに関係していたり、文化によって接し方が違っていたり…。ビニール傘を取り巻く状況には、気軽で済ませるにはもったいない面白さが隠れていたようです。