フィリップス エレクトロニクス ジャパンは4月7日、3.0/1.5Tを有するMRI装置(磁気共鳴画像装置)「Ingenia CX」を発表した。
同製品は、マグネットの磁場均一性に優れている他、グラジエント性能を向上させており、日々のルーチン検査での画質改善と臨床現場からの高度な依頼に応えられる。また、搭載されているdStream技術は、A/Dコンバータ(ADC)をRFコイル内に内蔵し、コイルから先はデジタル化された信号を光ケーブルで伝送することで、MRI装置をデジタル化した。人体に一番近いRFコイル内でA/D変換させることでS/N比が最大で40%向上し、画質の向上と検査のスピードアップを図っている。
具体的には、最大傾斜磁場強度が「Ingenia 3.0T CX」で80mT/m 、「Ingenia 1.5T CX」で66mT/mのグラジエントコイルを搭載し、脳神経領域における高速イメージング技術のEPI(Echo Planar Imaging)、DTI(Diffusion Tensor Imaging)や心臓MRI撮像の画質を向上させている。また、S/N比が向上したことでルーチン検査の時間短縮もしくは高度な撮像をルーチン検査で行うことができる。従来のSENSE法は撮像倍速を上げるとアーチファクト(ノイズ)が発生していたが、dStream技術のdS SENSEは撮像倍速を上げてもアーチファクトの少ない画像を得られる。
さらに近年、DWI(Diffusion Weighted Imaging)はルーチン検査として頭部、腹部、全身で使われるようになった。「Ingenia CX」は新しいDWI法「TSE DWI」と「LIPO」を搭載。「TSE DWI」は歪みやすい側頭葉などで歪みを抑えた撮像を可能とし、「LIPO」は3.0Tの腹部DWI、乳腺DWIでのアーチファクトを抑制する。「Ingenia CX」のDWI法はこれらの新しいアプリケーションに加え、マグネットの均一性とパワフルなグラジエントコイルを備えることで、安定性と高画質を提供するとしている。
なお、「Ingenia CX」は、主に大学病院や総合病院を中心に販売される。