富士通は4月7日、宇宙航空研究開発機構(JAXA)の新たなスーパーコンピュータシステムとして、開発中の「FUJITSU Supercomputer PRIMEHPC FX10」後継機を中核にしたシステムを受注したと発表した。
JAXAでは、ロケットエンジンの流体、熱、構造の研究や、航空機機体空力騒音に関する研究など多岐にわたった分野で、シミュレーション技術の適用を進めている。しかし近年、乱流、音響などの状態の変化をシミュレーションするといった大規模なデータ解析が盛んになっており、計算処理能力の向上が求められていた。今回、富士通では「PRIMEHPC FX10」の後継機を提案し、JAXAが保有するアプリケーションでの高い実効性能と確実かつ容易な資産の移行、環境負荷の軽減、使いやすさなどが認められ、導入が決定した。
新システムは「PRIMEHPC FX10」の後継機を中核にして構成され、システム全体の理論ピーク性能は現行システムの約24倍となる3.4PFLOPSの大規模システムとなっている。また、1TFLOPSクラスの性能を持ちTofuインターコネクトを統合した「SPARC64」シリーズの最新プロセッサや、高いメモリ性能を発揮するHybrid Memory Cubeなど、最先端技術を活用している。さらに、サブシステムとして、160台の「FUJITSU Server PRIMERGY RX350 S8」で構成されたPCクラスタシステムや大規模メモリ空間を利用したシミュレーションのためのサーバを有し、利用目的に応じた最適かつ効率的な計算環境を実現している。
なお、新システムは、宇宙航空分野での先導的計算科学研究、数値シミュレーション、データ解析、宇宙航空分野における学術的基礎研究に利用される他、人工衛星が取得した画像などのデータ補正処理も実施される予定となっており、これまで数カ月を要していた処理時間を短縮できるものと期待されている。