Mozillaは3日(米国時間)、Brendan Eich氏のCEO辞任を発表した。長期間のCEO探しを経て、3月24日にEich氏が新CEOに就任したばかりだが、同氏が2008年にカリフォルニア州のProposition 8を支持したことを理由に辞任を求める声が内外から起こっていた。

2008年にカリフォルニア州最高裁で同州における同性結婚が認められたが、その判断を覆すために提議されたのがProposition 8である。同年のエレクションデーに住民投票が行われた。その時にEich氏はProposition 8支持に1,000ドルの寄付を行った。Mozillaは自由やオープンネスを是としており、社内にはLGBT(同性愛者、両性愛者、トランスジェンダー)問題を含めて平等を重んじる社員が多い。そのためMozillaのリーダーとしてEich氏はふさわしくないという声が社内で上がり、Twitterなどを通じて議論が社外にも広がり、出会い系サイト大手のOK CupidがFirefoxのボイコットを呼びかける事態に発展した。

逆に、結婚観を理由に企業リーダーとしての素質を否定することこそ自由の精神に反するという意見もある。Mozillaは29日に、公式ブログで同社がLGBTに関して平等を重んじていることを改めて説明した。しかしながら、コミュニティと共にあるMozillaにとって、平等に反するという批判がコミュニティに広がるのは看過できることではない。Eich氏の退任について、Mitchell Baker会長は以下のように述べている。

「オープンネスを重んじる文化によって、スタッフやコミュニティは信念を共有し、自由に意見を述べ合えます。それがMozillaと他の多くの組織との違いであり、われわれを優れた行動規範にとどめています。しかしながら今回、私たちは論争に耳を傾け、迅速に対応し、そしてコミュニティと共にあることに十分ではありませんでした」