Q:日本のカタカナで、デザインがかわいいと思うものを教えてください

日本語は、漢字・ひらがな・カタカナという3種類の文字を組み合わせて表す言葉。中でも、9世紀初めに漢文を読むために記した捕捉文字を起源とするカタカナは、特に記号的に見えやすく、デザイン的にも面白い文字です。

そこで、日本在住の外国人20名に「日本のカタカナでデザインがかわいいなと思うもの」について聞いてみました。

■ゴ(フランス/30代後半/男性)
■コ(トルコ/20代後半/女性)
■ロ(韓国/40代後半/男性)
■ユ(インドネシア/30代前半/女性)
■コ(イタリア/30代後半/女性)
■モ(ベトナム/30代前半/女性)
■カ(ポーランド/20代後半/女性)

見た目が正方形に見える文字で集めてみました。正面や横向きで口を開けているようにも見えますね。90年代には、イギリスのデザインチームThe Designers Republicが、カタカナを見た目だけでアルファベットに置き換えたデザインで有名になりました。「POP」を回答にもある「ロ」を含めて「アロア」と表現した手法は、POP WILL EAT ITSELFのジャケットで見ることができ、90年代のストリートを代表するグラフィックとなりました。まさに、カタカナにビジュアル要素が強いことから生みだされたアイデアなんですよね。

■レ(シリア/30代前半/男性)
■ス(中国/30代前半/女性)

直線とハネ・はらいをあわせ持つ文字。静謐さと動きを感じさせる真逆の要素があるため、ビジュアル的にも楽しい印象を与えるようです。ちなみに、漢文で一文字戻る時にはレ点という記号を補いますが、これもレの形に似ているからだそうです。筆者には、女の子が片足を上げていたり、上からぶら下がっていたりするようにも見えますが、みなさんはどうですか?

■ノ(ペルー/40代後半/男性)
■ハ(ブラジル/50代前半/女性)
■ミ(スリランカ/50代後半/男性)
■へ(イギリス/40代後半/男性)

こちらは垂直・水平のへんがなく斜線のみで構成された文字。顔文字にも使われる文字もあり、ひげや口、手の動きのように感情を表す印象が元々強いのかもしれませんね。ちなみに京都の有名店「ハマムラ」のロゴは、回答にもある「ハ」も含めた店名で人の横顔を表したもの。記号とビジュアルをうまく融合したものなので、興味がある方は検索してみてください。

■ファンタ(オーストラリア/40代前半/男性)
■アンパンマン(インドネシア/30代後半/男性)
■タダイマ(スペイン/30代後半/男性)

単語としての回答もいくつか。ジャンルはバラバラですが、どの単語も斜めにはらう辺が連なる単語というのが興味深いですね。外国の方が「かわいい」と感じるビジュアルには、リズム感と勢いの要素が関係しているようです。

■カタカナはかっこいいので、かわいくなく見えます。(ロシア/20代後半/女性)

直線やはらいで構成されたビジュアル的な鋭さは確かにカッコいいものです。また、ロシア語のキリル文字に硬質な印象を持たれる方は日本でも多いのではないかと思います。日本語の中でキリル文字に最も近い文字と考えてみると、さらに納得がいく回答です。

硬筆文字の練習でもしない限り、大人になってからカタカナをしっかり見なおす機会はありませんよね。改めて振り返ると、文字そのものはもちろん、それらを取り巻くデザインプロダクトやイメージのあり方にも興味が沸いてきます。一時期話題になったJR駅構内のガムテープ文字だって、文字が記号的に見える面白さがあったからこそ、あれほどの話題になったはず。見慣れた文字をスタート地点として、身の回りのデザインを一度見直してみるのもいいですね。