STMicroelectronicsは、小さいターンオフ損失と設計自由度を高める650V耐圧を組み合わせた高速IGBT「HB」シリーズを発表した。
同製品は、高速動作する競合製品と比較して、ターンオフ時の電力損失を最大40%低減するとともに、導通損失も最大30%低減する。また、独自のTrench-Gate Field-Stop High-Speed技術を採用し、コレクタテール電流(ターンオフ時)を小さくし、飽和電圧(Vce(sat))を1.6V(標準)と低く抑えることで、ターンオフおよび通電時の電力損失を最小化している。さらに、最適に制御されたプロセスにより、パラメータの分布幅を狭め、再現性の向上とシステム設計の簡略化を実現している。
加えて、650Vの定格電圧は、周辺温度が-40℃まで下がった場合でも、最低600Vのブレークダウン電圧を保証するため、寒冷地向けの太陽光発電システム用インバータにも最適である。さらに、175℃の最大動作接合部温度と安全動作領域(Safe Operating Area:SOA)の拡大が信頼性を高め、ヒートシンクの小型化を可能にしている。この他、100℃時で最大定格電流30A~80Aをカバーするとともに、各種パワーパッケージのオプション、共振回路やハードスイッチング回路向けに最適化されたダイオード内蔵製品などが用意されている。太陽光発電システム用インバータ、IH機器、溶接機、無停電電源、力率改善コンバータ(PFC)、および、その他の高周波パワーコンバータなどの電力効率向上に寄与するとしている。
なお、価格は「STGW30H65FB」が1000個購入時で約2.14ドル。現在量産中。