STMicroelectronicsは4月1日、中/下位機種のセットトップボックス(STB)向け製品のポートフォリオを強化すると発表した。

具体的には、中/下位機種のSTB向けに、ARMの処理能力とHEVCデコード機能を提供する「Liege2」ファミリ「STiH301」を新たに投入し、下位機種のSTB向けに、より小型かつ高い電力効率を有する「Liege」ファミリ「STiH207」などを追加する。また、米MaxLinear社との協力により、ケーブル・衛星放送用フロントエンドを最適化した。

「STiH301(Liege2)」は、放送用CASセキュリティに関する独自技術を活かした「Cannes」ファミリから派生した製品で、最高4000DMIPSの性能を実現するCortex-A9プロセッサと、開発エコシステムの利用が可能になる。また、内蔵型フルHD HEVCデコーダ、独自のFaroudja画像処理およびクラス最高のセキュリティを、低消費電力28nm CMOSプロセスで製造されるSoCに統合している。HEVCデコーダには、帯域幅効率に優れたHD放送用エンコード技術が採用されており、部品コストを抑制しながらより多くのチャネルを、同じまたはより狭い帯域幅で提供できる。なお、パッケージは19mm角のBGA。2014年第2四半期よりサンプル出荷される予定。

下位機種のSTB向け「Liege/Cardiff/Palma」ファミリは、ST40コアをベースとし、中国のSARFT DCASセキュリティシステムミドルウェアを含む、あらゆる一般的なCASおよびミドルウェアをサポートするという。パッケージは23mm角のBGA。すでにサンプル出荷を開始している。

この他、STは、製品開発期間の短縮に寄与するため、ブロードバンド通信用の高周波(RF)集積回路とミックスドシグナル集積回路を扱うMaxLinear社との協力範囲を拡大した。両社は、MaxLinear社のFSCマルチチャネルフロントエンド技術と、STのSoCファミリを活用することで、ケーブル・衛星放送市場向けのリファレンス設計を開発中。このリファレンス設計には、4~8ビデオチャネルを使用するアプリケーション向けに最適化されたハードウェア実装が含まれる予定。また、LTE/Wi-Fiイミュニティ特性に関するMaxLinear社のRF専門性を取り入れ、同社のドライバをSTのソフトウェア開発キットに移植している。2014年第2四半期より提供開始となる予定。