2015年7月15日(日本時間)に訪れるWindows Server 2003/2003 R2のサポート終了を前にして、新たなサーバー環境へのマイグレーションに迫られている企業は多い。そこで、選択肢となるのがWindows Server 2012 R2対応のサーバー機器だ。サーバー製品というとハードウェアベンダー間での成熟が進んで製品の差はそれほどないと考える人も多いかもしれない。しかし、最新のテクノロジーを搭載したハードウェアを選択することで、導入から運用管理までのライフサイクル全般を大幅に効率化することができるのである。そんな次世代型サーバーを提供している日本ヒューレット・パッカード(以下、HP)のプリセールス統括本部 サーバー技術本部 シニアソリューションアーキテクトの及川信一郎氏に、同社のWindows Server 2012 R2対応サーバーがもたらすメリットなどについて話を聞いた。
ライフサイクル管理を支援する機能をハードウェアに標準装備
HPが提供している最新のサーバー製品「HP ProLiant Gen8」のWindows Server 2012 R2対応モデルは、マイクロサーバーやブレードサーバー、4-wayラックマウントなど全46機種の豊富なラインナップが揃っている。
「Windows Server 2012 R2のリリースと同タイミングでドライバー類も含めて対応機種をリリースしました。現行モデルをご購入いただければ、特に意識をしなくてもWindows Server 2012 R2環境へのスムーズな移行を完了することができます」と及川氏は語る。
一方、HPでは現行の「Gen8」以前のHP ProLiantシリーズについてもWindows Server 2012 R2対応を実施済みだ。例えば2世代前にあたる、2009年製のHP ProLiant DL380 G6などでもサポートしているため、既存のHP ProLiantにWindows Server 2012 R2を導入しテストを行った上で、本格的な乗り換えを検討するなど、安全かつ確実なマイグレーションが可能となっている。
これに加えて、HP ProLiant Gen8ではライフサイクル管理機能の進化が最大の特長となっている。
「もはやサーバー機器は、高速なCPUや大容量メモリーなどというのは当たり前となっています。当社ではセットアップが容易であったり、障害対応が迅速かつ正確に行えるといった、導入時のラッキングから構築、カットオーバー後の運用に至るまでサポートすることで、お客様が享受できるメリットをより踏み込んで追求しています」(及川氏)
サーバーの導入とメンテナンスの自動化を実現する上では、HP ProLiant Gen8が標準搭載している「Intelligent Provisioning」が挙げられる。ファームウェアやドライバー、ツール類を含むサーバーセットアップツールやサーバー状態の診断ツール、初期化ツールなどが、マネジメント用の専用チップであるiLOに備わっているため、SmartStartなど個別ツールの用意が不要となった。ファームウェアのアップデートやRAID構成、OSのセットアップツールなど、セットアップやメンテナンス、アップデートに必要な機能がすべてサーバーに内蔵されているのである。また、ドライバーソフトウェアやファームウェア、各ツール類のオンライン更新機能も搭載している。
続いて、OSから独立した管理、監視機能を提供するのが「Agentless Management」だ。最新版ではiLO自身がハードウェアの管理機能を実装しているので、エージェントのインストールが不要となっているのである。サーバーの電源投入時点からCPU、ファン 、パワーサプライ、メモリー、温度といったサーバーヘルスやストレージ、ネットワーク等の自動監視を開始。エージェントレスであるためOSに依存せず、監視のための余計な負荷も排除することができる。また、ハードウェア監視ネットワークにはiLOのみ接続すればいいので、よりシンプルな管理を実現する。
「今後、iLOの中身についても順次アップデートしていくので、さらに機能が増えていく予定です」(及川氏)
ハードウェア資産の一元管理と障害発生時の迅速な対応を実現
そしてスムーズな障害対応を支援するのが、航空機のフライトレコーダーのように通常時からあらゆる稼働状況を記録する「Active Health System」だ。ハードウェアに起こった変化や状態の遷移をセンサーで検出し、フラッシュメモリに逐次記録し続けるこの機能は、HP ProLiant Gen8に電源ケーブルを挿した段階から常時稼働を開始する。1,600超の検査項目がメインCPUの影響を受けることなくログとしてiLOに保存される。何らかの問題が発生した場合にはこのデータを解析することで、その時ハードウェアに何が起こっていたのかを過去に遡って分析し、障害の特定や原因の追求が迅速に行えるようになるのである。ユーザーがWeb経由で、自分が管理をしているデバイスの一覧や保守切れが近い製品の表示、これまでの障害履歴の確認なども行うことができる。
監視対象のハードウェアコンポーネントの故障や故障予兆情報を取得すると、故障した部品のパーツ番号やシリアル番号など故障機器の情報に加え、保守契約情報・設置場所までがHPのサポートセンターに自動的に通報される。するとHPから顧客に対して修理対応の連絡を行うサービスも標準で提供している。保守形態によっては24時間365日の対応が可能だ。
「サーバー故障時の修理対応では、正しい交換パーツを持っていくことが出来るかで初動の成否が決まりますが、当社の通報サービスではあらかじめ交換が必要なパーツを把握してお客様のもとへと持っていくことができるため、最初の対応で解決できる確率が95%以上となっています。」と及川氏は強調する。
こうした情報は世界中からHPに送り続けられており、製品の改善や対応ノウハウの蓄積につなげている。24時間365日の自動イベント通報を選択している場合、従来の電話サポートと比較すると問題解決に要する時間は実に66%にまで短縮されるという。
また、セキュリティ面でも十分な配慮がなされており、OSと切り離されたiLOからの通報やSSLなどのインターネット・バンキングと同じ暗号化技術の採用、さらには完全ディザスタリカバリ環境にあるHPのデータセンターで暗号化のうえ保管が行われるようになっている。
HP ProLiant Gen8を販売するHPのパートナーがユーザーと一緒に情報を見ることもできるため、パートナーに対応を委任することも可能だ。
仮想環境とハードウェアの透過的な管理を実現
HP ProLiant Gen8が標準装備している機能の中でも、人気の高いものの1つに、位置情報検出機能が挙げられる。この機能は、サーバーをラッキングした際にラックと通信し、ラック内の位置や接続したPDUの番号などを通知する。これにより電力の使用状況や機器の温度がラックの位置と合わせて把握できるので、省エネ運用などにつなげることができるのである。
さらに、Windows Server 2012 R2上でHyper-Vを動かすケースが今後増えていくと見られている中で、System Center Virtual Machine Managerとの統合により、仮想マシンからハイパーバイザホストへの結線・帯域幅、インターコネクトスイッチからのアップリンクまで結線状況をグラフィカルに管理することも可能となっている。
「仮想化によってハードウェアが見えづらくなっていますが、ハードウェアまで関連付けて把握することができないと、適切な運用管理は実現できません」(及川氏)
Windows Server 2003/2003 R2のサポート終了に伴うサーバー・マイグレーションを、単なる緊急避難で終わらせるのではなく、IT資産の効果的なライフサイクル管理に結びつけることについて、ぜひ一考してみてはいかがだろうか。HPでは、Windows Server 2003マイグレーションを支援する特設ウェブサイトや、わかりやすい「Windows Server 2003/2003 R2移行ガイド」を用意、お客様の最新環境への移行を積極的に支援している。