TANAKAホールディングスは3月31日、田中貴金属グループの2013年度「貴金属に関わる研究助成金」の受賞者を発表した。

同助成金制度は、貴金属を使用した研究・開発を行なう国内の教育機関、公的研究機関に対して「貴金属が拓く新しい世界」へのさまざまなチャレンジを支援するもので、1999年度から毎年実施されてきたもの。今回は、最高金額となる500万円が授与される「プラチナ賞」に1件、200万円が授与される「ゴールド賞」に1件が採択された他、50万円が授与される「シルバー賞」に8件、そして20万円が授与される「MMS賞」には16件が選出され、総額1420万円の研究助成金が授与されることとなった。

「プラチナ賞」に選ばれた、東京大学の瀬川浩司教授の研究タイトルは「新規Ru錯体のスピン反転励起を用いた広帯域有機系太陽電池」。世界的に高効率な再生可能エネルギー源が求められている中、できるだけ資源資材を使わず安価で使いやすい太陽光発電を実現するのは、次世代への大きな貢献となる。自然に降り注ぐ太陽光をうまく使うために、先進的な貴金属色素開発と有機色素の組み合わせにより、世界最高レベルの効率を得たのは画期的な技術革新であり、貴金属の特性を最大限生かした研究であると評価したという。

「ゴールド賞」に選ばれた大阪府立大学の八木繁幸准教授の研究タイトルは「りん光性白金錯体のエキシマー発光制御と単一ドープ型白色電界発光素子への応用」。次世代照明機器として注目を集めている有機EL照明は、実用化に向けて革新的な発展が材料面にも期待されている。同研究は、平面4配位型シクロメタル化白金錯体に特有なエキシマー発光を促進するための新規分子修飾法を確立し、単一発光材料にもかかわらず、高演色性を有する白金錯体を創出した。貴金属の特性である三重項励起子を利用し、貴金属材料の産業用途への幅広い展開を促す研究であることを高く評価したとしている。