東北大学は3月25日、細胞培養の足場となる「ハイドロゲルシート」において、底面に対して垂直方向にカーボンナノチューブ(CNT)を配列化させる技術を開発し、水平方向と比べて約40倍の導電率を実現することに成功したと発表した。
同成果は、東北大 原子分子材料科学高等研究機構のアハディアン助手、同・ラモン・アスコン助教、同・末永智一主任研究者、同・カデムホッセイニ主任研究者らの研究チームによるもの。研究の詳細な内容は、現地時間3月19日付けで英オンライン総合学術誌「Scientific Reports」に掲載された。
今回の成果は、ハイドロゲル底面にある電極と上面との間に、CNTによって電気の通路ができたことが原因と考えられ、このハイドロゲルを筋細胞の電気培養に応用したところ、より効率的な筋細胞の分化・成熟が可能となったものだという。同技術は、将来的には、再生医療やバイオセンサ、動物実験に頼らない筋肉の運動モデルを用いた薬の開発など、幅広い用途への応用が期待できると研究グループでは説明している。
画像1~3が、誘電泳動を応用したCNT垂直配列化ハイドロゲルシートの作製法。画像4・5は、ハイブリッドゲルシート上に配置した筋芽細胞株「C2C12」に電気刺激を与え、「筋管細胞」に分化させる工程の模式図。