富士通は、理化学研究所 放射光科学総合研究センターの新スーパーコンピュータシステムの構築を完了したと発表した。X線自由電子レーザー施設SACLAから得られる膨大な実験データの解析に利用される。
新システムの中核には、富士通のスーパーコンピュータ「FUJITSU Supercomputer PRIMEHPC FX10」(以下、PRIMEHPC FX10)が採用され、理論演算性能90.8テラフロップス(TFLOPS)を実現し、2014年4月より稼働開始予定。
「PRIMEHPC FX10」は「京」による計算の前に行う解析システム向けに導入。 「PRIMEHPC FX10」では、「京」を使った詳細解析の前にターゲットの絞込みなどの事前解析を行うとともに、実験データの特性に合わせた解析ソフトウェアの開発を行う。
「PRIMEHPC FX10」は「京」で利用するアプリケーションと互換性があるため、実験データの特性に合わせた解析ソフトウェアの開発や、「京」を利用した詳細解析にかけるターゲットの絞込みを可能とし、ナノ物質の構造・解析時間の短縮を実現するという。例えば、SACLAで取得される100万枚にもおよぶ2次元パターンを分類する解析では、既設のスーパーコンピュータでは2週間の解析時間がかかるところを「京」を利用することにより4時間まで短縮できる見込みだという。
システムは、「PRIMEHPC FX10」4ラック、384ノード構成で、総主記憶容量は12TB。HPCミドルウェアとして、「Technical Computing Suite」、ログインノードなどとして、PCサーバ「FUJITSU Server PRIMERGY RX300 S8」11台をあわせて導入。
ストレージとしては、合計容量600TBとなるストレージシステム「FUJITSU Storage ETERNUS DX80 S2」を導入、そのファイルシステムは高性能スケーラブルファイルシステムソフトウェア「FEFS」によって構築される。