ロームは3月25日、車載や産業機器など高電力が必要なセットの電流検出用途に最適な高電力・低抵抗を実現したシャント抵抗器「PSRシリーズ」を開発したことを発表した。
電流検出用途の抵抗器は、過電流やバッテリー残量を検知するための電流検出として使用されており、車載や産業機器分野で幅広く使われてきたが、近年の高機能化や電子化などにより、回路内の電流量が増大より高電力への対応が求められるようになってきていた。また、回路の消費電力を抑えるための低抵抗化、過酷な温度環境でも優れた抵抗温度係数を確保する高精度化の実現も求められていた。
高電力への対応ならびに0.2mΩ(min.)の低抵抗領域における高測定精度の実現には、銅電極をバラつきなく接合する技術が必要となるため、同シリーズは、独自の精密溶接技術を採用することで、抵抗体金属と厚い銅電極を接合し、高い放熱性と熱容量を持った構造を実現。これにより、5W相当の高電力化とともに、高い生産性も達成したとする。
また、一般的に、抵抗値が低くなるほど抵抗温度係数は大きくなるが、同シリーズでは、抵抗体金属に高機能合金材料を採用することで、低抵抗領域でも優れた抵抗温度係数(TCR)を達成することに成功したとのことで、これにより、車載や産業機器分野など厳しい温度保証が要求されるセットの回路にも余裕を持って使用することができるようになったとする。
なお、現在同シリーズは定格電力4Wを保証する「PSR400はシリーズ」と5Wを保証する「PSR500シリーズ」がラインアップされており、いずれもすでに月産10万個の体制で量産を開始しており、今後需要の拡大を見越し、月産100万個に増産する予定だという。