「このKPI設定は正しいのだろうか?」「他の会社はどんな風にFacebookページの効果を測定しているのだろうか?」などなど、日々疑問を感じている方のために、今回はFacebook運用における永遠の課題であるKPI設計に関して、企業担当者の生の声をまとめました。

こんにちは!ソーシャルメディアマーケティング事業第二本部営業担当の矢野彩香です。

先日2014年3月11日、弊社では「Social Media Marketing Day March2014」と題した、ソーシャルメディアマーケティングに関するセミナーイベントを開催させていただきました。当日は、「マーケティング目的に応じたソーシャルメディアの使い方」や「弊社クライアント様の事例に基づいた具体的な運用方法」のご紹介に続き、第二部として実際に企業でFacebookページを運用されている担当者によるパネルディスカッションや、参加者同士の情報交流会が行われました。

実はこの第二部は、私が日々の営業現場で、KPIに関してのお悩みをお聞きすることが多かったため、パネルディスカッションやワークショップを通じて、企業のご担当者同士が直接情報交換する場をご提供したいと企画したものです。そのため、ご参加の皆さまからもKPIに関する実際のお悩みを聞かせていただき、交流会での情報交換の話題にしていただこうとアンケートを実施しました。今回はそのアンケートのご回答をまとめてご紹介いたします。

普段はなかなか聞くことが出来ない他社のFacebook担当者による生の声を、ぜひご参考ください!

※参考:Social Media Marketing Dayイベント紹介ページ
http://seminar.aainc.co.jp/page/33

まず初めに、今回のテーマとなるKGIとKPIについて、簡単におさらいします。

「ソーシャルメディア」は消費者との中長期的な関係性を構築する場であるため、ブランディングやマインドシェアの高まり等、数値化することが難しい定性的なポイントも重視する必要があり、定型的、画一的な評価・判断が難しいとされてます。

そのため、ソーシャルメディアマーケティングの成果を正確に把握するためには、今までのWEBマーケティングで使われていたような、インプレッション、クリック数/率、ユニークユーザー数やページビュー、コンバージョン(会員登録/資料請求/商品購入など)獲得数/率などといった指標の表面的な数値推移を、そのまま効果結果として判断してはいけません。

興味喚起率、ブランド好意度、購入意向度、既存顧客のLTV(顧客生涯価値)変化率など、ユーザーの心理・行動を考察するような指標についてもしっかりと測定し、最終的な目的の達成のために「ソーシャルメディア」での活動が、どのような影響を及ぼしたのかを把握することが重要です。

ですからまずは最終的に目指す「目的」を明確し、それが達成されたかどうかを図る指標として、「KGI(Key Goal Indicator=重要目標達成指標)」を設定した上で、達成に向けたプロセスが適切に実施されているかを中間的に計測するために、「KPI(Key Performance Indicator=重要業績評価指標)」を検討しなければなりません。

※参考記事
「KPI」、「KGI」とは?~今更聞けないマーケティング用語をおさらい!
http://smmlab.aainc.co.jp/?p=10311

それではまずは今回アンケートにご回答いただいた38社の、Facebookページの運用歴とページ開設の目的を見てみましょう。

<Facebookページ運用歴>

2年以上3年未満が9社、1年以上2年未満が8社で全体の45%を占め、71%が半年以上の運用実績をお持ちの企業でした。一方で、「これから」や「半年以内」は全体の26%とやや少なくなっており、今回のセミナーテーマであるKPI設定に興味を感じたのは、Facebookページの開設時点や直後よりも、ある程度運用してからの企業が多かったと言えます。

これは、Facebookページを開設して半年程度は、まずある程度のファンを獲得することが目的とされやすいため、ページへの「いいね!」数が分かりやすいKPIとして機能するからでしょう。当初目標としたファン数を獲得した後に、この先Facebookページで何をするのか?何のために継続運用するのか?という本来の目的の再設定が迫られるため、課題が明確化するのではないかと考えられます。

次に、Facebookページ開設の目的です。

<Facebookページ開設の目的>

ブランド・商品/サービスの認知向上が12社、さらに売上向上までを目的にする企業が12社と並び、合計24社で全体の63%を占めていました。

「認知向上」を目的とする場合、Facebookページの数値だけでは最終的な効果を評価することは出来ません。Facebookページでの会話やアクションなどのコミュニケーション量によって、WEBでの自社に関する言及量が増えていないか?実際の来店数はどうか?問い合わせ数との相関はないか?など、マーケティング・コミュニケーション全体への影響度を総合的に測定していくことが必要です。

そのためにはファンとのエンゲージメントを計測するKPIを設定しなければなりませんが、これは商材やこれまでのブランドイメージ、ユーザーとの向き合い方などで影響範囲が異なるため、適切な測定指標を設定するのが難しい目的だとも言えます。

次に、今回はある程度の運用実績をお持ちの企業が多かったにも関わらず、「売上向上まで目指している」企業が案外少ないようにも感じられました。これはソーシャルメディアからの「売上」に対する影響が、直接的なコンバージョンだけでは計測しづらいためではないでしょうか。この場合は「アトリビューション」のような、間接貢献を評価する手法を検討する必要があります。

※参考記事
「アトリビューション」とは?今知っておきたい旬キーワード!
http://smmlab.aainc.co.jp/?p=9682

また、それ以外の回答では、コミュニケーションや今までの媒体と違った顧客へのアプローチ、マスメディアと違う接触・情報発信媒体、ブランディング、中途採用が合計で10社でした。さらにオウンドメディアの活性化という回答もあり、これらをまとめると、今までと違った顧客(もしくは潜在顧客への)アプローチとして、Facebookページを新たなコミュニケーションの場として認識していることが伺えます。

これらの目的においても、それぞれが最終的に企業の利益にどう結びつくのか、利益向上への貢献を評価するにはどんな影響を計測すればよいかを検討することが、具体的なKGI/KPIを設計するために必要だと言えます。

各社目的を持ってFacebookページを運用していると回答されていますが、効果測定のための具体的なKGIやKPIを設定しているのでしょうか?

<KGI/KPI設計をしているかどうか>

なんと意外にも、現在KPIを設定していると回答した企業は58%と約半数で、残りの42%はこれから設定する、もしくはまだ設計ができていないという状況でした。運用の目的は決まっているが、具体的なKGI/KPIに落とし込むことはまだ出来ていないという感じでしょうか。

これは前述のとおり、Facebookページ運用の「目的」が、最終的にどのように企業利益に結びついているか、結びつけるのかまでを、検討されていない場合が多いのではないかと思います。Facebookページはその成長フェーズによって担える役割が変わることもありますので、立ち上げ当初から普遍的なKGI/KPIを設定することは難しいかもしれません。その場合はFacebookページの成長に合わせて適切な目的を設定しなおし、その時々のKGI/KPIを明確にすることで、継続的に運用効果を把握することが出来るでしょう。

さて、あなたが運用しているFacebookページはいかがでしょうか?まずはFacebookページの目的を再度見直し、その達成のためのスケジュールとどんな数値で達成度を図ることが出来るかを考え 続編では、他社が実際にどのようなKGI/KPIを設定しているのか?、KGI/KPIを活用したFacebookページの運用方法、成功と失敗のポイントなど、更に気になるアンケートデータをご紹介します!

ライター紹介

アライドアーキテクツ株式会社 ソーシャルメディアマーケティング事業第一本部
矢野 彩香(Ayaka Yano)

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