Q.国内でインテリアデザインが好きな空間を教えて下さい

伝統的な和風の空間から、モダンな建築空間まで、多種多様なジャンルのインテリアデザインが混在する日本。海外から日本へ移住してきた人々にとっては、日本にあるインテリアデザインのどのような点が魅力的に見えているのでしょうか?日本在住の外国人20名に、「インテリアデザインが好きな空間」を教えてもらいました。

和風の空間

■和室。(アメリカ人/37歳/男性)
■神社仏閣。(シリア人/30歳/男性)

やはり票数が多かったのが、「和室」「神社仏閣」といった和のテイストの空間。日常生活の中で和室を利用する機会は少ないとしても、旅先で訪れた旅館や寺・神社などが強く印象に残っているようです。

また次のように、和室の中で好きなポイントを具体的に挙げてくれた人もいました。

■畳が広がっているところ。(ポーランド人/26歳/女性)

広々とした畳敷きの部屋に、ごろりと寝転ぶ気持ちよさは他の国では味わえないものかもしれませんね。襖・障子を開け放てば、部屋をつなげて広々とした空間が作れる点も和室の魅力です。

■縁側。(中国人/32歳/女性)

屋内の居住空間と、庭のスペースとをゆるやかに繋いでくれる縁側。春は日だまりの中でうたた寝、夏には腰掛けてスイカをほおばり、秋には虫の音を聞きながらお月見を……と、四季の移り変わりを楽しむことのできる贅沢な空間と言えるでしょう。

■ミニマルな居間の空間。(スペイン人/36歳/男性)

畳敷きの床に、障子、床の間、違い棚などの最小限の構成要素で作られている和室は、実にミニマルなスペースデザイン。また、机や寝具といった家具を出し入れすることで、一部屋がリビング、ダイニング、書斎、客間など様々なシーンに合わせて早変わりするなど、シンプルさの中にも機能性が隠されていることに気付きます。

■木で作られた家具。(オーストラリア人/44歳/男性)

職人の手によって作られる木工家具。伝統的なものだと桐たんすなどを思い浮かべますよね。また、日本の木工は釘や金具などを使わない宮大工をルーツにしており、その技術は海外でも高評価されているのだとか。

モダンな空間

■デパートの伊勢丹。(トルコ人/26歳/女性)
■六本木ヒルズ。(韓国人/46歳/男性)

和の空間とは対照的に、モダンで都会的な空間デザインを挙げてくれた人もいました。特に、昨年大規模なリニューアルを行った伊勢丹新宿本店は、ファッションとアート・カルチャーが融合した空間が特徴。デパートという商業施設でありながら、訪れるたびに文化的な刺激や驚きをくれる場所へと進化しています。 再開発を通して六本木ヒルズやミッドタウンが誕生し、お洒落なショップが立ち並ぶ六本木も、東京の新しい顔のひとつとして定着していますね。ハイセンスな住空間を提案するインテリアショップが多い印象もあります。

■Nicolai Bergmann Flowers & Designというお店。(イタリア人/36歳/女性)

Nicolai Bergmann(ニコライ・バーグマン)は、1976年デンマーク生まれのフラワーアーティスト。1999年に来日して以来、日本に魅せられ移住。現在では、南青山のフラッグシップショップを拠点に、国内外で活動を展開しています。一見ヨーロピアンテイストで、モダンな印象の強い彼のフラワーアレンジですが、実は色使いやモチーフの選び方に、日本で培った美意識や、和の文化へのリスペクトが隠されているのだそう。

その他

■水戸芸術館の面白い形が好きです。(フランス人/35歳/男性)
■旧首相官邸。(スリランカ人/58歳/男性)

水戸芸術館は、茨城県水戸市にある美術館・コンサートホール・劇場からなる総合文化施設。敷地内には100メートルの高さのシンボルタワーが立ち、展望室からは水戸市内を一望できるのだとか。 「旧首相官邸」と答えてくれたスリランカ人の男性もいました。昭和に建てられたレトロモダンな建物にも、独特の空気感がありますよね。

アンケートを通して、伝統的な和の空間を高く評価している人が多いことが分かりました。また、和・洋いずれのインテリアデザインも自由に取り入れる日本の空間デザインの特殊さを改めて感じさせる結果となりました。ニコライ・バーグマンのような、日本文化へ造詣が深い海外アーティストの空間演出にも、今後更に注目していきたいですね。