The New York Genome Center(NYGC)とIBMは3月19日(米国時間)、IBMの「Watsonコグニティブ・システム」を活用することでゲノム医療を促進する取り組みを開始することを発表した。

今回の取り組みは、がん専門医ががん患者に対してより良い個別ケアを提供することを目指した支援ツールとしてゲノム研究専用にデザインされた独創的なWatsonの試作システムを検証しようというもの。第1段階として、NYGCと医療パートナー機関は、脳腫瘍の一種である膠芽腫の患者により個別化された治療計画をがん専門医が作成する支援を行うWatsonの能力評価を行う予定。

膠芽腫は、進行性、悪性の脳腫瘍で、がんのドライバー遺伝子は見つかっているものの、わずかな患者しか個々のがん変異にあわせた個別化治療の恩恵を受けることができておらず、米国では毎年1万3000人超の患者が亡くなっていると言われている。

その背景として、臨床医が患者に対して複雑化しているDNAに基づいた治療のオプションを提示するために必要なツールと時間が不足していることが挙げられる。今回の取り組みはそうした複雑なプロセスをより迅速化し、ゲノム解読や医療データにおけるパターンを特定し、臨床医が患者に有効なゲノム治療を提供できるような知見を獲られるようになることを目的として行われ、両者は、Watsonの改良を通じて、最終的には患者の病気のDNAに合わせた治療のオプションにアクセスすることができる患者の数を増やすことを目指すとしている。