デルは3月19日、ファイバチャネルストレージ市場に向け、「Dell Compellent」の高機能エンタープライズストレージ「Dell Storage SC4000」シリーズを発表した。その第一弾として、「Dell Storage SC4020」を世界に先駆けて、アジア太平洋地域(APJ)で5月に発売する。価格は現在未定。
アジア太平洋地域で先行発売する理由を、米Dell ストレージ担当 バイスプレジデント 兼 ジェネラルマネージャー アラン・アトキンソン氏は、アジア太平洋地域が世界のミッドレンジストレージの43%を占め、そのうち79%がファイバチャネルストレージであるためだと説明した。
「Dell Storage SC4020」は、「Dell Compellent Storage Center」ソフトウェアをベースとし、2U、24ドライブのストレージエリアネットワーク(SAN)を搭載する。既存の他の「Dell Compellent」ストレージソリューションとの相互運用が可能であり、従来型の回転式ドライブや書き込み性能に最適化されたフラッシュ(SLC)、読み出し性能に最適化されたフラッシュ(MLC)の間でデータを階層化する。ユーザーは、各種フラッシュドライブの間で階層化を行うことで、15,000回転のディスクテクノロジーと同等の価格でオールフラッシュ並みのパフォーマンスが実現できるという。
「Dell Storage SC4000」シリーズは、SC8000のすべての機能を、よりコンパクトで安価に提供し、24台の内蔵のドライブスロットを持ち、オプションのエンクロージャーで120台まで拡張可能(容量は最大413TB)。デュアルのコントローラーを搭載し、ストレージはフラッシュ、HDD、これらのハイブリッドの3パターンから選択可能だ。
アラン・アトキンソン氏は、新製品について、「IDCの試算によれば、今後10年間でデータ量が490%増加するという。しかし、IT予算は増えそうもなく、ここに大きなギャップが生じている。したがって、お客様にはハードウェアをアップグレードする余裕がない。デルはこれまでPCやサーバなど、他の領域でやってきたように、ストレージにおいても経済性を実現していく。デルの他社との違いは、5年間の標準の保守があること、ソフトウェアのライセンスが永続ライセンスになっており、そのまま使い続けていくことができること、ソフトウェアを使った自動階層化機能をもっていることの3つだ。技術面では、最先端のアーキテクチャを採用し、適正なデータを、適切な場所に、適切なタイミング、適切なコストで格納できる。そのため、顧客により低価格でテクノロジーへのアクセスを提供できる」と語った。
また、デル 執行役員 エンタープライズ・ソリューションズ統括本部長 町田栄作氏は、昨年の同社の国内ストレージ売上げが前年比で18%増加し、FCストレージ売上げが89%増加した点を挙げ、「デルにはまだ余力があるので、この成長を続けていきたい。サーバはダウンサイジングされており、ストレージもローエンドに向かうなかで、ボリュームは増えていく現象が始まっている。フラッシュも価格が下がっている中、今後は価格だけでなく、パフォーマンス、高性能化への要求も高まっていくだろう。デルは30年前、PCで新しい『当たり前』を作ってきた。デルは、ストレージの世界の中でも新しい『当たり前』(コストパフォーマンスの破壊)を具現化していく」と述べた。
アラン・アトキンソン氏は、他社よりも安価にオールフラッシュストレージを提供できる理由を、「ソフトウェアに大幅に手を加えている。また、信頼性のあるSLC、リード性能に優れた価格の安いMLCを併用し、用途に応じて使いわけており、MLCを多く使っている。書き込み時はSLCを使っているので、書き込み時のレスポンスには影響しない。ただ、SLCの容量がいっぱいになってしまうので、1日3度、スナップショットを取り、データをMLCに移行し、読み込みはMLCで行っている。そのほか、ソフトウェアが仮想化されているので、ポインタのみで、物理的にデータを動かす必要がないのもメリットだ」と説明した。
新製品の主なターゲット市場は、エントリーモデルのスタンドアロン市場、分散型エンタープライズ市場、オールフラッシュまたはハイブリッドのソリューション市場の3つで、アラン・アトキンソン氏は、「ミッドレンジ市場を開拓していく上で鍵となる製品だ」と述べた。