レッドハットは3月18日、Red Hat Enterprise Linuxの責任者である、副社長兼プラットフォーム事業部門長のジム・トットン(Jim Totton)氏を米国本社から招いて、「Red Hat Enterprise Linuxの戦略説明会」を開催した。

米Red Hat 副社長兼プラットフォーム事業部門長 ジム・トットン氏

同氏は、IDCの世界におけるサーバOS出荷予測を示しながら、「UNIXとメインフレームが減少し、オープンソースやLinuxベースのソリューションの導入が加速している。依然Windowsは強いが、LinuxとWindowsが50%づつのシェアを取る形に近づいている。有償Linux市場では、レッドハットは65.4%と一番大きなシェアを持っている。12年前、レッドハットはエンタープライズソリューションにフォーカスしていくことを決定したが、12年の年月を経て、Red Hat Enterprise Linuxがエンタープライズ領域におけるLinuxの標準OSとなっている」と、Red Hat Enterprise Linuxがエンタープライズ市場でシェアが拡大している点を強調した。

世界におけるサーバOS出荷予測(IDC)

同氏はその背景として、メインフレームやUNIXなどのレガシー環境から移行する傾向がある点を挙げた。

そして同氏は、次期メジャーバージョンであるRed Hat Enterprise Linux 7の拡張機能を説明。Red Hat Enterprise Linux 7は昨年の12月からベータテストが行われており、安定次第、リリースを行うという。

Red Hat Enterprise Linux 7の拡張機能

Red Hat Enterprise Linux 7では、「プロファイルに基づくパフォーマンスの最適化」、「ファイルシステムの選択」、「アプリケーションの分離を軽量化」、「Windowsとの相互運用性」、「より簡素化されたインストールとデプロイ」、「OpenLMIを利用したシステム管理」などの機能強化が行われているという。

「プロファイルに基づくパフォーマンスの最適化」では、ユーザーはいくつかあるプロファイルの中からワークロードを選択するだけで、Webのインフラ、ファイルサーバなど、利用環境に合わせワークロードの最適化が自動で行えるという。

「ファイルシステムの選択」では、これまでファイルシステムのデフォルトはExt4だったが、今後はXSFに変更するという。これによりストレージの対応が100TBから500TBに拡張されるという。

「アプリケーションの分離を軽量化」では、アプリケーションの仮想化のコンテナをサポートしていく。

「Windowsとの相互運用性」では、WindowsのActiveDirectoryによる認証やセキュリティをサポートする。

「Windowsとの相互運用性」

「より簡素化されたインストールとデプロイ」は、ユーザーがRed Hat Enterprise Linux 7に簡単にアップグレードできるようガイドするツールが用意される。

「OpenLMIを利用したシステム管理」では、データセンターにおけるプロビジョニングやコンフィグレーションなどの管理を簡素化しているほか、モニタリングが強化されているという。

そして、レッドハット 執行役員 パートナー・アライアンス営業統括本部長 古舘正清氏は、国内でのRed Hat Enterprise Linuxの販売戦略を説明。2014年は、「成長分野にフォーカス」、「新ソリューションの提供」、「エコシステムの拡充」、「Red Hat Enterprise Linux 7」の4つの方針で成長を加速させるという。

2014年の販売戦略の方針

レッドハット 執行役員 パートナー・アライアンス営業統括本部長 古舘正清氏

「成長分野にフォーカス」では、UNIXとメインフレームからの移行に引き続き注力していくほか、新たなクラウド環境への対応としてOpenStackの普及に力をいれていくという。また、Embedded分野にも力を入れ、特にNVFを実現するゲストOSとしての普及に力をいれていくという。

「成長分野にフォーカス」

「新ソリューションの提供」では、ミッションクリティカル分野、ビッグデータ、クラウド、データセンターの刷新の4つの分野におけるソリューションを積極的に展開する。

特に、UNIXとメインフレームからの移行を促進する意味でもミッションクリティカル分野とデータセンター刷新は重要だという。

「新ソリューションの提供」

「データセンター刷新」では、昨年の9月にパートナー43社とともに設立した「OSSインテグレーションセンター」を活用。このセンターでは、無償でレガシー環境からLinuxへの移行ロードマップを提供する。これまで50社以上の相談があり、10社以上の実績に結びついているという。

「エコシステムの拡充」では、現在250社ある認定パートナーを500社へ倍増させる。特に、Windowsからの移行をサポートするパートナーを増やしたいということだ。また、OpenStackを普及させる意味で、OpenStack Partnerを近日中に発表するという。