サポート切れが目前に迫ったWindows XP。更新プログラムの配信停止によるセキュリティリスクなどが繰り返し強調されてきた結果、現在はWindows 7、8、8.1への移行作業が急ピッチで進められており、多くの企業がサポート切れを前に移行作業を終えられそうだ。
しかし、移行には"落とし穴"が付きもの。Windows XPからの移行でもすでにいくつか指摘されている。その中でも特に注意してほしいのがアプリケーションの対応だ。
Windows XPは13年以上も前にリリースされたOSである。今日までにすでに3世代ものWindowsがリリースされている。その上で稼働するアプリケーションも当然ながら、ほとんどがバージョンアップを繰り返しており、XPで使っていたライセンスが適用できないバージョンも多い。アプリケーションの互換性を確かめなかった結果、日常的に使っていたアプリケーションが移行により使えなくなり、業務が滞った現場も少なからずあるようだ。
Windows 7、8とOffice 2013の両方に対応するのはAdobe Acrobat XIのみ
そうした問題に対して注意を喚起している企業の1つにAdobeがある。同社では特にPDF活用ツールである「Adobe Acrobat」に関してバージョン確認の必要性を訴求している。
Acrobatは、Microsoft Officeと並んで利用することが多いツールだ。例えば図面や設計関連の文書を扱う開発・設計部門、製品を企画する部門、製品の説明書やパンフレット、カタログ等を制作する部門、プレスリリースや各種の企業情報などを作成して公開する部門など、組織内で幅広く使われている製品である。
そのAcrobatだが、移行先OSの最有力候補となるWindows 7、8において利用できるのは、Acrobat X以降(最新版はXI)となっている。加えて、Microsoft Office 2013文書からワンクリックでPDFを作成できる機能(PDFMakerと呼ばれる)に対応しているのは、Acrobat XIだけ。つまり、Windows 7または8と、Office 2013の組み合わせにきちんと対応しているのは、Acrobat XIのみとなる。
また、別の意味で、Acrobat 9以前のバージョンの継続使用はオススメできない。それは製品のサポートが終了しているためだ。サポートの終了は、セキュリティの脆弱性を解決するアップデーターが提供されないことを意味する。
セキュリティ対策の基本は、Acrobatの状態を常に最新に保持することだ。これはWindowsやOfficeアプリケーションなどを最新に保つことと変わりない。Acrobatでは、現状バージョンX(10)以降がサポート対象製品だ。
加えて、Microsoft Office 2003もWindows XPと同じ時期にサポートが終了する。Officeも最新版に移行することを検討している企業も多いだろう。
こうした状況にあるにもかかわらず、一般にシステム管理者の認識は低い。Officeは更新しても、Acrobatは考慮から漏れるというケースが少なくないようだ。業務に支障を来さないためにも、Acrobatのライセンスも見積りに入れておくべきだろう。