理化学研究所(理研)の野依良治理事長は3月14日午後2時すぎから都内で会見し、新しい万能細胞とされた「刺激惹起(じゃっき)性多能性獲得(STAP)細胞」発見の論文(英科学誌ネイチャー1月30日号に掲載)について「重大な過誤があった」と認め、「科学社会の信頼性を揺るがしかねない事態を引き起こし、おわびする」と謝罪した。
STAP論文の疑義に関する中間報告も公表された。調査委員長の石井俊輔上席研究員は、6項目を調査して、うち2項目について、写真の流用などがあったとして不適切な点は認めたが、「研究不正には当たらない」と判定したことを明らかにした。残る4項目は調査中とした。また、石井委員長は「調査は継続中で、論文の著者に記者会見をさせて弁明の機会を与えるのは適切でない」と語った。
会見に合わせて、研究の中心になった理研発生・再生科学総合研究センター(神戸市)の小保方晴子研究ユニットリーダーら3人は論文撤回の意向を示し、「心からおわびする」との謝罪文書を発表した。また、理研発生・再生科学総合研究センターの研究室主宰者22人は連名の声明で「同じ理研のセンターの研究室主宰者として大変深刻に受け止め、憂慮している。私たちは科学の公正性を回復、担保するためのあらゆる努力を払う」と表明した。
都内での理研の会見に同席した竹市雅俊発生・再生科学総合研究センター長はSTAP論文撤回を著者たちに勧めたことを明らかにして、「STAP細胞の真偽については、第三者に検証、再現されることが唯一の手段」と、研究者に追試を呼び掛けた。