東京ガスは3月13日、大阪ガス、東邦ガス、富士電機、パナソニック、東光東芝メーターシステムズと共同で、単三型リチウム一次電池2本で10年間の長期駆動が可能な多段中継無線機の開発したことを発表した。
同無線機は、各戸に設置されているガスメーターの指示数(メーター指示数)などのデータを、複数のガスメーターを経由しながらリレー伝送(多段中継)する、近距離通信型の多段中継無線機で、無線機間の信号の送受信方式を、連続式ではなく5秒に1回にする「間欠動作方式」の採用などにより、低消費電力設計を実現したという。
また、通信時の無線状況に応じて経路を自動で選択する機能を実装しているため、高信頼性の通信を実現できるほか、920MHz帯の周波数の無線を使用することで、通信速度も従来と比較して40倍向上させることに成功したとする。
現在、各ガスメーターの「メーター指示数」を確認することが難しい建物に関しては、無線機を利用して検針員の居る路上からデータを収集していた。しかし、この無線の電波が直接届く範囲内での通信に限定されるため、検針員のいる路上から無線の電波が届く範囲は5階建て以下の建物に限定され、かつ通信にも時間がかかっていたという。今回開発された同無線機を用いると、データを多段中継することが可能なため、6階建て以上の商業ビルや中高層マンションなどにおいても無線による検針ができるようになるという。
さらに、日本で初めて都市ガス業界、LPガス業界、水道メーター業界が参加する「NPO法人テレメータリング推進協議会」において標準化されている無線用の通信規格「Uバスエア」に適合しており、将来的にはLPガスや水道のメーターなど他のインフラ事業者のメーターにも装着することができ、共同でデータ伝送も可能になるとするほか、ガス漏れ警報器などのセンサと接続することで、警報器が作動した場合には自動でガスメーターを遮断するといった付加価値サービスへの展開も期待できるとしている。
なお、同無線機はすでに東京ガスの社宅において導入されており、2014年3月26日から、無線による検針の試験が実施される予定だという。