ON Semiconductorの日本法人であるオン・セミコンダクターは3月4日、都内で会見を開き、同社のLED照明ソリューションの現況などの説明を行った。
同社のLED照明デバイスがターゲットにしている市場は主にカーエレクトロニクス分野と一般照明分野の2つ。中でも「LEDライティング」分野については、既存の市場に加え、さらに大きな市場機会があるという。
同社のオートモーティブセグメントの2013年売上高は全売上高の27%を占める7億5100万ドルで、パワートレインやボディ、車載ネットワークなどで強いポジションを持っているとするが、今後は燃費関係や安全分野、モータ制御などを成長分野として見ている。同セグメントにおけるLED照明ビジネスとしては、フロントライト部での採用が多いという。
一方の一般照明市場はというと、全世界の電力の約1/5が照明で消費されているといわれており、その消費量の削減に向け、全世界でLED化が進められている。日本でもすでにLED照明は30%の市場浸透率となっているほか、米国も2011年より白熱灯の廃止運動を本格化。GEも2011年に白熱灯を製造する最後の工場を閉鎖させるなど、企業も動きを見せている。
そうした市場の変化に合わせて、現在のLED照明市場の中心は白熱電球の置き換えとなっているが、LED照明にはそれ以上の可能性があるとON SemiconductorでLEDライティング担当 戦略マーケティング・ディレクターを務めるシュリ・ジャンディヤラ氏は語る。特に今後の5年間で大きく成長することが見込まれるのが、「ネットワークやセンサと連携したスマートライティング分野」であり、そうしたいわゆるIoTとの連携により、新たなアプリケーションの創出などが期待でき、市場が急激に拡大することが期待されるとした。
そうした意味で、2014年はLEDの高効率化と低価格化が進み、1つの転換点を迎える年となる、とするのが同氏の見解だ。というのも、LED電球の価格は年々下落してきており、10ドルを切れば普及価格帯と言われている中で、2015年には60W級電球で5ドルに達する勢いで価格下落が進んでいるためである。「早ければ2014年にも10ドルを切ることになる。そうなれば、一気にLED電球の普及が進むことになる」と語るのが、2014年が転換点となると見る背景である。
2014年にLED電球市場が転換点を迎えるであろうとする同社の見方の背景には、電球の価格が下がり、普及期に入るとの予測がある。ただし、LED電球の価格が下がったとしても、LEDチップの出荷個数そのものは世界的な需要により増えていくので、半導体のビジネスとしては美味しい状態になる、というのが同社の言い分となっている |
しかし、LED電球の価格が下落すれば、LEDチップを提供する半導体ベンダの売り上げも落ち込む気がするが、同氏はその見方を否定する。というのも、LED電球の普及にしたがい、電球の販売数そのものは減ることになるが、1つのLED電球には複数個のLEDチップが用いられており、市場が拡大すれば、出荷個数が増えることとなり、必ずしもLED電球の価格下落がそのままLEDチップ市場の規模縮小につながらないとする。
また、今後の戦略としては、ドライバやMOSFETなどに加えて、センサやマイコンの機能を1チップに統合したソリューションとしての提供も考えているという。「そうしたソリューションを実現するためには、電源システムに対する技術とAC/DCの技術がカギとなる。また、産業機器向けの専門技術としてネットワークやセンサ技術も必要となるほか、マイコンの技術にも精通する必要がある。こうしたアナログからデジタルまで、幅広いポートフォリオを持っているのがON Semiconductorであり、我々がソリューションの実現に一番近い企業だと考えている」と同氏は自社の優位性を強調。「LED照明は今後、新しい時代、"スマートライティング"の時代が到来することになる。我々はそれに対し、幅広い技術を提供することで向かい入れる準備がある」とし、LEDの新たな活用法やイノベーションの創出に向け、パートナー企業などと協力して取り組んでいくとした。