古河電気工業(古河電工)は3月11日、次世代石英系光導波路(PLC)のチップサイズを従来品比で1/10以下に小型化したと発表した。
近年、スマートフォンの台頭や動画配信、ソーシャルネットワークなどの普及に伴い、通信トラフィックは爆発的に増加している。このような高度情報化社会を実現するためには、超高速かつ大容量伝送を実現する必要がある。これに向けて、光デジタルコヒーレント方式の導入が加速しており、そのための光部品や端末機器の提供が望まれている。また、光デバイスにも小型化および高機能化、低コスト化が求められており、これらの要求を満たすため、従来のPLCの設計限界を超える技術開発が必要となっている。
従来のPLCではコア部にGeO2を添加し、クラッド部よりも屈折率を高めることでコア内部に光を閉じ込めて伝搬させていた。回路を小型化、高密度集積化するためには、GeO2の添加量を増やして、コアとクラッドの比屈折率差を高めて光の閉じ込めを強くする必要がある。ところが、GeO2の添加量を増やすと、ガラスの構造が不安定になり、製造・品質上の問題が発生することが分かっている。
そこで今回、屈折率が大きいZrO2をコアに添加することで比屈折率差5%以上となる超高屈折PLCを開発し、コヒーレントミキサに適用した結果、従来品と比較して1/10以下に小型化できたとのことで、これにより、コヒーレントレシーバの小型化が可能になるとする。
なお今後は、同超高屈折PLC技術を実際の光デバイスに適用するための開発を行うとするほか、モジュール化を含めた実証実験を進めつつ品質向上を図り、次世代高速光通信ネットワークの実現を目指すと同社ではコメントしている。