ITRは3月10日、全国の300人超の現役教師を対象に実施したタブレット端末の活用意欲に関する調査結果を発表した。
同調査は2013年12月、全国の小・中学校、高校に勤務する現役教師を対象に実施し、330件の有効回答を得た。これによると、現役教師の85%以上が「タブレット端末」の活用に前向きであるという。
タブレット端末を教育現場に導入することの是非については、「賛成」「どちらかと言えば賛成」を合わせた回答の割合が全体の85%を上回り、極めて前向きであることが示された。回答者の中には「個人としてタブレット端末を所有している」とした人の割合が約40%(330人中134人)含まれるが、所有していない教師についても賛成派が大多数を占めた。
タブレット端末で最も重視する用途としては、「インターネットを利用した調べ物」(31.8%)、「電子教科書のビューワ」(30.6%)の2つが上位2項目を占め、インターネットの活用を想定していると言える。
タブレット端末の導入を進めるうえで、情報セキュリティ対策が無視できないとの懸念も垣間見えた。タブレット端末の導入による「児童・生徒にとってのデメリット」を質問したところ、「インターネットの有害情報にアクセスしやすくなる」(31.8%)、「個人情報の漏洩リスクが増す」(28.2%)という回答が一定の割合を占めた。
ただし、こうしたセキュリティへの不安は、教師が勤務する教育機関の種類によって異なることも判明した。例えば、高校に勤務する教師の間では「インターネットの有害情報にアクセスしやすくなる」が2番目に多くの回答を集めるなど、小・中学校よりも明らかにセキュリティ不安が高いことが示された。より高度で複雑な利用が想定される高年次の教育機関において、セキュリティが大きな課題になることを示唆している。
児童・生徒数が1000人を超える大規模校でも、同様にインターネットの有害情報へのアクセスや個人情報の漏洩リスクといったセキュリティ不安が特に高くなるとの結果が示されている。
タブレット端末をはじめとするスマートデバイスにおいては、機能性やセキュリティ・レベルに対してOSの果たす役割が大きいことが知られているが、自らの勤務先で導入するのに「最もふさわしい端末のOS」を尋ねたところ、WindowsがiOSやAndroidを押さえてトップとなった。
ITRのシニア・アナリストである舘野真人氏は、「現在、一般消費者や企業の間で普及が進んでいるタブレット端末は、今後の学校教育においてもICTの主役の一角を占めると予想される。しかし、利用者の多くが子供たちであり、かつ継続性や安全性が重視される教育現場での活用を考慮すれば、製品選定においては、一般の企業以上に冷静かつ客観的な視点が不可欠だ。特に安全性については、OSの総合力や連携するクラウドサービスの利用規程も評価対象とすることが望まれる。また、学習教材としての利用を考慮すれば、最低でも3年間は継続利用が保証される製品を選ぶべきである」とコメントしている。