富士通研究所(以下、富士通研)は3月7日、複数の長期的な予測シナリオに基づき計画を逐次修正し、急激な需要の変化に対応可能なサプライチェーン・マネジメント向けのモデル予測制御技術を開発したと発表した。
富士通研では今回、これまでに蓄積したモデル予測制御技術を適用し、サプライチェーンの小売業において、急激な需要の変化に対応しながら、在庫保有コストや在庫切れなどによる機会損失を考慮した、トータルコストを最小とする発注計画の立案を実現した。
開発した技術は各発注時において、出荷量制限、納期、賞味期限など様々な制約条件の下で、在庫保有コストや在庫切れなどによる機会損失などのトータルコストを最小とし、かつ利益を最大にするような設定で最適化計算を行うことで、最適な発注量を決定すること、逐次修正される需要予測に基づいて一定期間先までを対象に発注量を最適化すること、ビッグデータにより得られた複数の長期的予測シナリオを考慮して最悪ケースでも損失を抑え、利益が最大化する発注量を計算することの3つ。
これら予測・最適化のプロセスを繰り返していくことで、従来困難であった、予測の不確かさを考慮しながら需要の急な変化などに対応した最適な発注計画の自動立案を可能にする。
本技術により、サプライチェーンにおける小売店業務での在庫最適化において、急な需要の変化に対応した利益を最大化する発注計画の立案が可能となり、小売店の実データを使って発注計画立案に適用し、約90店舗のケースで約60週間分を検証したところ、1店舗以外すべての店舗で利益が増加したという。
また、従来の需要予測に基づいて安全在庫量を見積り、発注量を決定する方法と比較すると、全店舗の平均で約16%利益が改善することが確認できたという。
富士通研では、今後、開発したモデル予測制御に基づく最適化技術を、予測・最適化プラットフォームへ搭載し、ビッグデータに関する製品・サービス群を体系化した「FUJITSU Big Data Initiative」のオファリングのメニューとして適用していく。