UBICは2014年3月5日、カルテルや情報漏えいなどの"温床"となる社員の業務用電子メールに関して、従来のメール監査技術では工数がかかりすぎて不可能と考えられていた常時監査が可能になったと発表した。人工知能が監査手法を自動的に学習し、ナレッジ(知識・知見)を駆使して監査をサポートするソフトウェア「Lit i View EMAIL AUDITOR」を開発し、4月1日よりサービスを提供する。
本サービスは、何か問題が起きてから電子メールを監査し始めるのではなく、常日頃より"予兆"を感じさせるメールをタイムリーに捕捉するという点で、さまざまな企業内の不正を未然に防ぐ効果があるという。サービス使用料は、年間契約で監査対象1ユーザーあたり1万円程度を想定しているという。
電子メールによる情報漏えいを未然に防ぐためには、社員の業務用電子メールを日常的にチェックし、不正や犯罪につながるおそれのある内容を前もって把握し、予防を行うことが必要であると考えられている。しかし、実際にこうした対策を講じている企業は極めて少ない。
その理由は、従来型ソフトによる「キーワード検索」などの機能では抽出作業に限界があり、捕捉率を高めるにはキーワードを設定し直したり、人手によるチェック作業が必要であったりするためだ。
UBICでは、従来の手法とは異なるアプローチから、低コストで最大の効果を発揮するメール監査システムの開発に取り組み、Lit i View EMAIL AUDITORを開発した。キーコンセプトは「行動情報科学」「人工知能応用技術」「自動学習」とされる。
本サービスでは、電子メールの文章を品詞レベルまで分解し、対象者間でどのような言葉を、どのような組み合わせで使用しているかを分析することで、行動内容を把握し、重要なものを可視化することが可能となった。さらに個人単位だけでなく、組織単位も含めた2層の相関性分析機能により、組織間・交流関係内でのキーパーソンの特定、隠された個人、企業間での交流を分析することもできる。
また同社は、これまで実績として積み上げてきた解析・研究の成果から、監査官の調査手法を学習し、関連メールを自動抽出することが可能な人工知能応用技術「Predictive Coding」を独自に開発した。
通常、監査における抽出設定は1回で100%の設定ができるわけではないため、監査したメール内容において出現した新たなキーワードの設定や、過度にメールを抽出してしまうキーワードを削除するなど、日々のメンテナンスがとても重要となる。
UBICの自動学習機能は、監査の済んだメールをプログラムが自動的に関連データとして取り込み、抽出精度を向上させるものだ。同社が蓄積してきた監査における専門領域の知識を持たせた人工知能「バーチャル・データ・サイエンティスト」を開発し、自動でメール仕分けを実施し、関連メールを正確に抽出できるようになった。更新されるキーワードは、自動学習され、以後の監査に適用されるため、抽出精度は日々向上していくという。