日立製作所は3月7日、2010年に国家プロジェクト「最先端研究開発支援プログラム」の採択を受けて、北海道大学(北大)と共同で開発を進めていたコンパクトで低コストな陽子線がん治療システム「陽子線治療システム PROBEAT-RT」について、薬事法に基づく医療機器の製造販売承認を取得したことを発表した。

同システムは、陽子線がん治療の世界的な普及をめざして北大と日立が共同開発した、コンパクトで低コストな陽子線がん治療装置。照射方式をスポットスキャニング照射方式のみに特化することを前提に、北大の放射線治療で培ってきた知見と、日立の持つ設計技術の融合により、ガントリー・照射ノズル・加速器を小型化し、装置の機器配置を見直すことで全体をコンパクト化しつつも使い勝手のよい治療システムを実現したという。

特に加速器は、従来日立が販売している「PROBEAT-III」比で、周長23mから18mに、ガントリーも最大外形長11m/内径3.5mから最大外形長9m、内径2.5mにそれぞれ小型化され、システム全体の設置面積も約7割に縮小することに成功したという。

日立と北外の共同開発では、北大の持つ「動体追跡照射技術」と日立の持つ「スポットスキャニング照射技術」を組み合わせ、呼吸などで位置が変動する腫瘍に対して精度よく陽子線を照射することができる治療システムの開発と、治療システム全体の小型化が重要な課題となっていた。なお、「動体追跡照射技術」と「スポットスキャニング照射技術」を組み合わせた治療システムについては、現在、医薬品医療機器総合機構に製造販売承認の申請が行われている段階だという。

また、北大では同システムを用いた治療を2014年度より開始する予定だとしている。