米IBMは1月23日(現地時間)、LenovoがIBMのx86サーバ事業を買収することで合意したと発表したが、日本IBMは3月6日、米IBMのSystem x ゼネラル・マネージャー アダリオ・サンチェス氏を招いて、この内容に関する説明会を開催した。

アダリオ・サンチェス氏によれば、今回の売却では、System x、x86 BladeCenter、Flex Sysytem ブレードサーバ、Flex Sysytemをベースとする垂直統合型システム、NextScale、iDataPlex、関連するスイッチ製品群とソリューション、システム・ソフトウェア製品の一部などの製品のほか、開発、営業、マーケティング、財務、法務、インテグレーテッド・サプライ・チェーン、オペレーション、IT、製造、サービスサポート(保守)など、ビジネス全体がレノボに移るという。レノボに移る社員は全世界で7,500名に及ぶという。

x86サーバ事業買収の概要

買収によってレノボが取得する製品のポートフォリオ

なおIBMは、1年間の製品保証+5年のサポート契約によって、6年間は保守を継続していくという。

米IBMのSystem x ゼネラル・マネージャー アダリオ・サンチェス氏

では、なぜ、IBMはこのような契約を結んだかについて、アダリオ・サンチェス氏は、「x86市場は非常に大きく、クラウド機能、セキュリティ機能なども必要になる。この市場で成功するためには、IBMが持っている技術だけでは不十分で、迅速にお客様ニーズに対応することや、規模の経済を追求することが重要だ。両者はサーバ市場にフォーカスしており、包含的なサービスを提供できる。 両者の提供によって規模、チャネル、営業の効率性などを融合させることができる。我々は技術を持っており、レノボは規模やサプライチェーンを持っている。これらを融合させることによって新しい能力が生まれてくる。それにより、競争が激化する市場に対して"勝てる解"を見出すことができる」と説明した。

さらに同氏は、「今回の契約は単にレノボによる事業の買収ということではなく、次なる目標を見据えたもので、IBMとレノボがデータセンターにおける協業を、今後、実行していくという証(あかし)だ。その結果、協業体制はより強固なものになる。レノボはIBMと再販契約を結ぶことになり、エントリーおよびミッドレンジのストレージ製品を再販できるようになる。これにより、IBMはレノボを介してこれらを販売でき、その売り上げ規模は1億ドル規模以上になる。そう意味で、今後は両者はより深い関係になる。これまでx事業に携わっていた人間はそのままレノボに移るので、同じ営業マン、同じサポートの人間がサービスを提供でき、スキル、能力の低下はない」と述べた。

なお、レノボへの人員の移動は今年の末までに完了する予定だという。

日本IBM 代表取締役社長 マーティン・イェッター氏

そして、説明会に同席した日本IBM 代表取締役社長 マーティン・イェッター氏は、「LenovoがIBMのx86サーバ事業の買収は戦略的なパートナーシップだ。レノボは今回の買収によってポートフォリオを広げるが、IBMは引き続き高付加価値商品の開発は継続していく。レノボはすでにIBMとともに多くの実績を積んできた。レノボ・NECグループは、日本におけるPCの最大シェアを持っている。一方IBMは研究開発費に6,000億円を投資しており、この投資は多くの特許取得にもつながっている。したがって、引き続きサーバ事業が成功することも、レノボとのサーバ事業の戦略的なパートナーシップが成功することも確信している。xビジネスは日本でも成長しており、IDCジャパンによれば、2012年から2013年にかけ14.9%伸びており、日本IBMはx86サーバ市場の3倍成長している。これは、すべての日本のベンダーの中で最も成長した事業だ。これこそが戦略的パートナーシップの屋台骨になっている。この成功は将来的にも継続できる」と語った。