ホクトは3月5日、メタボリックシンドロームの根底にあると言われている脂肪組織炎症を改善する可能性を示す研究結果を得たと発表した。

同成果は同社 研究所ならびに東北大学大学院薬学研究科 生活習慣病治療薬学分野の平澤典保 教授らによるもの。詳細は、3月28日に開催される「日本農芸化学会 2014年度大会」において発表される予定だという。

肥満が進むと、内臓脂肪組織が慢性的な炎症状態(脂肪組織炎症)になることが知られており、メタボリックシンドロームの根底にある病態と考えられてきた。

脂肪組織炎症は、脂肪細胞と免疫細胞の一種のマクロファージとの相互作用によって進むと考えられており、具体的には、脂肪細胞が分泌する飽和脂肪酸と、マクロファージが分泌するIL-6、TNF-αといった炎症性サイトカインが、互いの炎症状態を進展させているとされている。また、抗メタボリックシンドローム作用が注目されている脂肪細胞由来成分「アディポネクチン」を減少させることでも知られる。

そこで研究グループは今回、脂肪細胞とマクロファージを同時に培養し、リポポリサッカライド(LPS)による刺激により炎症状態にさせ、肥満による脂肪組織炎症に近い実験系を作成。ヤマブシタケの抽出物が脂肪組織炎症にどのような作用を及ぼすのかについて調査を行った。

脂肪細胞(赤色は蓄積した脂肪)

その結果、ヤマブシタケ抽出物は、特にマクロファージに存在する受容体の1つ、TLR4からの刺激を抑制し、IL-6、TNF-αなどの炎症性サイトカインの分泌を低下させて、マクロファージと脂肪細胞の炎症を防ぐことが判明したという。

ヤマブシタケはTNF-αの分泌を抑制することが確認された

また、炎症によって減少する抗メタボリックシンドローム作用を持つタンパク質「アディポネクチン」の遺伝子発現レベルの減少を抑制することも確認したという。

ヤマブシタケはアディポネクチン遺伝子の減少を抑制できることを確認した

さらに、ヤマブシタケに含まれるエルゴステロール誘導体の1つに、炎症を強く抑制する働きがあることも発見したという。

なお同社では、今後、動物や人が摂取した時の作用を検証する必要があるが、ヤマブシタケのメタボリックシンドロームへの有効性が期待できる研究結果と考えているとコメントしている。