Texas Instruments(TI)は近赤外線(NIR)光の利用に最適なDLPデバイス「DLP4500NIR」およびその評価モジュール「DLP NIRscan」を発表した。

同製品は、デジタル・プログラミングが可能な約100万個のマイクロミラーを内蔵したDLPテクノロジーを心臓部に採用しており、1エレメント型ディテクタと組み合わせて使用することで、高価なリニア・ディテクタ・アレイを使用せずに、高性能分光器の設計が可能になる。また、波長が700nm~2500nmの光に最適化されており、最大4kHzの速度で、複数の波長の選択と減衰を可能にするほか、設計された全計測周期にわたって、SNR(信号-ノイズ比)を30000:1以上に改善し、従来型の分光器と比較して、計測速度と精度の向上を実現することができる。

さらに、内蔵のマイクロミラーを個別に制御することで、複数の設定パターンを生成でき、ユーザーにとってスペクトラム分解能と波長範囲の微調整、積分時間の調整、光スループットの均一化を可能とするため、複数のアダプティブ・スキャン手法を使い、計測中の材料解析の最適化が可能になり、1つのシステムで、より広範な物質に対応できるようになるという。

用途としては、分光器のほか、シングル・ピクセル・カメラ、レーザー・マーキング、顕微鏡にも使用可能だという。

一方の「DLP NIRscan」は、低価格の多機能分光器の開発に新たな選択肢を提供するプラットフォームで、数々のインタフェースを提供し、多様な設計に対応している。また、「DLP4500NIR」とデジタル・コントローラ「DLPC350」を採用しているほか、透過サンプリング・モジュールとハロゲンランプにマッチした、1エレメント型拡張InGaAsディテクタを搭載している。

処理能力については、TIのSitara ARM Cortex-A8プロセッサ「AM3358」と、24ビット 30kSPS ΔΣ型A/Dコンバータ「ADS1255」を搭載しているほか、コンピュータとのインタフェース向けにEthernetポートと2本のUSBポートを内蔵しており、有線と無線(Wi-FiとBluetoothコネクタは別売)のいずれの接続も可能となっている。

プリロード済みのLinux OSと、BeagleBone Blackアーキテクチャ・ベースの高集積Webサーバは、設定に特別なダウンロードが不要で、設計者はUSBで「DLP4500NIR」をコンピュータに接続し、Webブラウザを開くだけで簡単に使用できるようになるという。

なお、「DLP4500NIR」と「DLPC350」はすでに供給可能となっており、「DLP NIRscan」は、単価(参考価格)8499ドルで、2014年4月から供給が開始される予定だという。

TIの近赤外線向けDLPデバイス「DLP4500NIR」の外観イメージ