計測機器大手Agilent Technologiesの日本法人であるアジレント・テクノロジーは3月4日、独自のTrueform信号生成技術を搭載したファンクションジェネレータ/任意波形発生器「Agilent 33600A」を発表した。
同製品は、チャネル数(1/2チャネル)、および周波数の組み合わせにより、4モデルを用意。1GSa/sのサンプリングレートで、最大120MHzまでの任意波形を発生できる。また、従来のダイレクトデジタルシンセシス(DDS)方式任意波形発生器の1/200となる1psの低ジッタ、低い全高調波歪み(THD)により、正確な信号発生を求めるニーズに応えている。ジッタ性能が向上したことで、立ち上がり時間のきれいな波形を生成でき、設計におけるタイミングエラーを減少させることが可能な他、THDが0.03%未満、非高調波歪みが-75dBc未満となっており、ノイズの少ないきれいな信号を生成できる。これにより、従来以上に正確な評価を実現できる。
また、ジッタ性能、および3nsの立ち上がり/立ち下がり時間により、トリガー点を正確に設定可能。さらに、1mVppの低電圧レンジにより、1μVまでの出力変化に対応できる。これは今日の低電圧回路・機器の試験に欠かせない性能となっている。この他、「33600A」ではライセンス管理により、簡単に性能をアップグレードさせることができる。例えば、メモリ長は最大64MSaまで、帯域は120MHzまでアップグレードできる。NISPOM対応のファイルセキュリティ機能も追加できる。
従来のDDS方式では、原理上の制約のため、性能を犠牲にするか、最大5倍程度の価格のハイエンドモデルを購入する必要があった。Trueform技術は、DDS方式と、ポイントパークロック方式の利点を持ち合わせている。具体的には、波形の合成が容易で、1チャネルのみで信号にノイズを付加することができるため、マージン試験や歪み試験が可能。2チャネルモデルを使えば、最大4信号の合成が可能である。また、ノイズの帯域幅が可変なので必要な帯域幅でノイズ生成できる。さらに、事前に設定した複数の波形を指定した順番に発生する波形シーケンス機能により、波形発生機本体のメモリ消費を抑えながら、長時間にわたる複雑な波形を生成可能。加えて、パルスジェネレータを用意することなく、PN3~32でPRBS(擬似ランダムバイナリシーケンス)パターンを生成でき、デジタルシリアルバスの評価に有効であるという。この他、オプションでべースバンドIQプレイヤーが提供されており、高価な信号発生器を用意することなく、ワイヤレス通信向け機能が利用できる。IQプレイヤーは、信号補正機能(振幅利得、チャネルオフセット、チャネルスキューなど)も搭載している。このように、通常、このクラスの任意波形発生器では搭載されていない高度な機能を実装している。
なお、価格は1チャネル、80MHzモデルの「Agilent 33611A」が41万4059円(税別)、2チャネル、80MHzモデルの「Agilent 33612A」が59万0275円(税別)、1チャネル、120MHzモデルの「Agilent 33621A」が48万6517円(税別)、2チャネル、120MHzモデルの「Agilent 33622A」が69万3821円(税別)。すでに販売、出荷を開始している。