テクトロニクス社は2月26日、「スペクトラム・アナライザ(スペアナ)」、「ロジック・アナライザ(ロジアナ)」、「プロトコル・アナライザ(プロアナ)」、「任意波形/ファンクション・ジェネレータ(AFG)」、「デジタル・ボルトメータ(DVM)」の機能を1台に統合したメインストリーム向け汎用オシロスコープ「MDO3000シリーズ」を発表した。
オシロスコープでありながら、「スペクトラム・アナライザ(スペアナ)」、「ロジック・アナライザ(ロジアナ)」、「プロトコル・アナライザ(プロアナ)」、「任意波形/ファンクション・ジェネレータ(AFG)」、「デジタル・ボルトメータ(DVM)」の5つの機能も1台に搭載した「MDO3000シリーズ」 |
近年、組込機器においても無線通信機能が当たり前のように搭載されるようになり、システムレベルのデバッグにおいて、デジタル信号、RF信号、システム全体の高効率化、省電力化といった測定課題が生じている。こうした課題に対応するためにはさまざまな計測機器を用いる必要があるが、その場合、エンジニアが常に必要な計測器を必要なタイミングで手元に用意できるわけではないという問題が生じる一方で、製品開発期間のさらなる短縮が求められるといった二律背反的な問題を解決する必要があった。
同シリーズは、同社のMSO/DPO3000シリーズ・シグナル・オシロスコープをベースに開発されたもので、6種類の計測器の機能を1台に統合することを可能としたもの。基本は周波数帯域100MHz/200MHz/350MHz/500MHz/1GHzで各2ch品と4ch品のアナログ入力の合計10機種が用意されており、1GHz品以外の8機種は購入後、キーコードを購入することにより、柔軟に機能を拡張することが可能だ(1GHz品には内蔵基板そのものが異なるため、預かり対応という形で機能拡充が可能になるという)。
また、、9kHz~各オシロスコープの周波数帯域まで対応する1chのRF入力(オプションでRF入力周波数3GHzまで拡張可能)をスペアナ用途に利用可能なほか、DVMは購入後、ユーザー登録を行うことで無償で利用することが可能だ(上述のとおり、ロジアナ、AFG、プロアナの3つの機能についてはオプションとしてキーコードを購入することで利用が可能となる)。
さらに、サンプルレートは最高5GSps、レコード長は10Mポイント/chであるほか、独自の「FastAcq(ファストアック)機能」により、毎秒28万波形以上の波形更新レートにて温度パレットを用いて発生頻度の低いもの、高いものを色分けして表示することが可能となっている。
特にこのFastAcq波形取り込みモードの活用により、デバッグ作業における「検出」の段階で、まれに生じる現象を確実に捕捉することができるようになるため、より状態の把握などが容易となり、デバッグ期間の短縮を図ることが可能になる。
このほか、スペクトラム・アナライザの機能としては最大3GHzまで関連するスペクトラムを一度に取り込むことが可能なほか、プロトコル・アナライザの機能としては、オシロスコープ上でデコードされたパス表示も可能なため、デコードされたデータを物理層のパケット単位データとして見ることができたり、イベントテーブルとして見ることも可能となっている。加えて、AFGの機能を活用することで、1台の計測器でテスト信号の再生出力、ストレステストなどを実現することも可能となっている。
加えて、各製品ともに3.9pFの低負荷容量を実現した受動プローブがch数分、標準装備されており、1GHz機種には1GHz受動プローブが標準装備されることとなる(下位機種の350MHz/500MHz品には500MHzの受動プローブが、200MHz/100MHz品には250MHzの受動プローブがそれぞれ提供される)。
本体は9型ディスプレイに11カ国対応のユーザインタフェースを採用。5GSpsのA/Dコンバータ(ADC)、8.25GSpsのサンプリングスピード(ロジックアナライザ)、250MSpsのD/Aコンバータ(DAC)(AFG)、3GHzまでの帯域取り込み(スペクトラム・アナライザ)などの性能を1つの筐体に納めるために、独自開発のASICとIPを活用することで、時間ドメインと周波数ドメインを1つの基板で実現したほか、フル機能のAFGも統合、ファンクションジェネレータの基板と併せて3枚基板構成(オシロスコープとスペアナのADCは共用)の小型筐体を実現した。
使い方としては基本的にはオシロとしての操作感でさまざまな機能を利用できるよう配慮された作りとなっており、機能を切り換える際には、例えばRFボタンを押すとスペアナに切り換わり、ch1ボタンを押すとオシロに戻るといった各種の機能ボタンを押すだけで切り換えが可能(ロジアナ機能のボタンやプロアナのボタン、AFGボタンが用意されているほか、DVMについては、メジャメントのデジタルボルトメータの項目を選択することで切り換えが可能。DVMでは、入力は1~4chまでオシロスコープと共有しており、同時測定でも個別測定でも使える作りとなっており、電圧と周波数を同時に測定することも可能となっている。
なお本体の価格は以下のとおり。
- MDO3012型:100MHz 2chアナログ入力+1ch RF入力 ミクスド・ドメイン・オシロスコープ 39万6000円(税別)
- MDO3014型:100MHz 4chアナログ入力+1ch RF入力 ミクスド・ドメイン・オシロスコープ 46万8000円(税別)
- MDO3022型:200MHz 2chアナログ入力+1ch RF入力 ミクスド・ドメイン・オシロスコープ 46万8000円(税別)
- MDO3024型:200MHz 4chアナログ入力+1ch RF入力 ミクスド・ドメイン・オシロスコープ 52万7000円(税別)
- MDO3032型:350MHz 2chアナログ入力+1ch RF入力 ミクスド・ドメイン・オシロスコープ 81万7000円(税別)
- MDO3034型:350MHz 4chアナログ入力+1ch RF入力 ミクスド・ドメイン・オシロスコープ 97万8000円(税別)
- MDO3052型:500MHz 2chアナログ入力+1ch RF入力 ミクスド・ドメイン・オシロスコープ 104万円(税別)
- MDO3054型:500MHz 4chアナログ入力+1ch RF入力 ミクスド・ドメイン・オシロスコープ 133万円(税別)
- MDO3102型:1GHz 2chアナログ入力+1ch RF入力 ミクスド・ドメイン・オシロスコープ 124万円(税別)
- MDO3104型:1GHz 4chアナログ入力+1ch RF入力 ミクスド・ドメイン・オシロスコープ 165万円(税別)