IDC Japanは2014年2月25日、国内ストレージソフトウェア市場の2013年上半期の売上実績と2017年までの予測を発表した。2013年上半期の国内ストレージソフトウェアの売上は382億1100万円で、前年同期比成長率は18.5%のプラス成長だった。IDC Japanでは、同市場の2013年の売上見込みを751億3200万円、2012年~2017年の年間平均成長率(CAGR : Compound Annual Growth Rate)を4.5%、2017年の市場規模を857億9400万円と予測している。
高い売上成長率を記録した要因の1つとして、2013年上半期の国内ストレージハードウェア市場の売上が前年同期に比べて大きく増加した点があげられる。特にストレージソフトウェアの売上に強い影響を持つハイエンドストレージの売上は、近年の減少傾向から一転して前年同期比1桁台後半の拡大となり、ストレージソフトウェア売上を押し上げたという。
もう1つ、ITインフラ環境の変化という点でストレージソフトウェアの需要を活発にしているのはサーバー仮想化の本格的な展開。IDCでは、仮想化によるサービス統合の規模拡大やミッションクリティカルなシステムの仮想化環境への移行などが進んでいることを挙げている。ストレージインフラに対する可用性や信頼性の要求を高めると共に、ワークロードに適合した動的なリソース配置など、ストレージ管理ソフトウェアを利用した運用の効率化/自動化を進める必要性が高いとしている。
データ保護ソフトウェアの需要は、東日本大震災を契機に高まった後、2012年暮れごろに一度下降した時期があったが、多くの企業で会計年度が変わった2013年4月以降に災害対策需要が再び高まる傾向が見られた。仮想化技術の進展により、システムやデータのポータビリティが向上していることも、災害対策に向かわせるユーザーを増やしている要因となっている。
IDC Japan ストレージシステムズ リサーチマネージャーの鈴木康介氏は「現在、ストレージ市場は製品多様化の方向に進んでおり、大規模ユーザー、先進的ユーザーのストレージ運用は複雑化してきている。管理の複雑性をソフトウェアの利用によって解決しようとする動きは、今後一段と活発化するだろう。ストレージソフトウェアにとっては、ITインフラ全体の運用管理ソフトウェアとの連携の重要性も増しており、機能進化の速度がますます求められる時代となっていく」と分析している。