富士通と富士通研究所は2月24日、富士通研究所が開発した触覚技術により、ツルツル感やザラザラ感といった触感が得られるタッチパネルを搭載したタブレットを試作したと発表した。

スマートフォンやタブレットの市場は成熟期を迎え、ユーザーの求める価値は、スペックや機能から、心地よさ、楽しさといった感性価値へ変化している。これに対し、富士通では、スマートデバイスに「ヒューマンセントリックエンジン」を搭載するなど、これまでも視覚、聴覚対応技術を中心に感性価値を高める取り組みを進め、製品化してきた。今回、これらに触覚を加え、新しい操作性や表現力を生みだし、新たな体験を提供するとしている。

触覚技術を搭載したタブレットの試作機

富士通研究所が開発した触感技術は、2つの感触で構成されている。1つが、従来にないツルツルした感触である。タッチパネル表面を超音波振動させることにより、パネル表面と指との間に高い圧力の空気膜を発生させ、その浮揚作用により摩擦力が低減する。この現象を利用すると、タッチパネルに触れた際に従来実現が難しかったツルツル感を感じることができるという。超音波周波数帯の振動には大きなエネルギーを要するが、携帯端末サイズで効率よく振動させられる技術を開発し、試作機で実現することに成功した。

もう1つが、錯覚を利用した凹凸やザラザラした感触。パネル上を操作する指のタッチ情報と画面の表示情報に応じて、摩擦力の高低を瞬時に変化させることで、ヒトに触感の錯覚を誘発し、画面に凹凸感やザラザラ感を実現した。この触感情報に加え、ディスプレイに表示される視覚情報とスピーカから出力される音響情報を効果的に提示することで、画面に表示された情報をより豊かに表現する。

触感実現の原理

そして、これらの技術を、小型化してタブレットに実装した。試作機では、視覚、聴覚、触覚を合わせた新たな感覚を体験することができる。この触覚技術は、より直感的でリアルな操作性の実現により、電子カタログなどへの応用が考えられ、タブレットなどのデバイスはもちろん、様々なサービスへの適用を視野に入れた幅広い可能性を持っている。富士通と富士通研究所では、触感表現とその多様化について研究開発を進め、2015年度中の製品化を目指すとコメントしている。