広島県立美術館は、広島では没後初めてとなる画家・平山郁夫の回顧展「平山郁夫展 ―文化財赤十字への道―」を開催する。開催期間は4月8日~6月1日(会期中無休)、開場時間は9:00~17:00(金曜は20:00まで開館、4月8日は10:00から。入館は閉館の30分前まで)。会場は広島県立美術館。入場料は一般1,100円、高校・大学生600円、小・中学生400円(このほか「星星會展」とのセット券もあり)。

同展のロゴマーク

同展は、平山郁夫の幼少期から晩年までの画業を、本画やスケッチ、下図などを含め約80点の作品で振り返るとともに、平山が世界各地を取材する過程で収集した、優れたシルクロードの美術コレクションを展示。貴重な文化遺産を災禍から守り後世に伝えようと提唱した「文化財赤十字」構想のもと、長年尽力した文化財保護活動にも焦点を当てつつ、多岐にわたった知られざる業績を顕彰する。

また、展示は青少年期の作品として日本美術院展に初入選した1953年の「家路」、その名を広めその後の方向性を決定づけた「仏教伝来」など仏伝シリーズの代表作、生涯のテーマとなったシルクロードでの作品から「アフガニスタンの少女」や「絲綢之路天空」などを紹介。また、平山自身の活動や創作の原典を辿る「仏陀坐像」や「広島生変図」など、文化的に貴重な作品も展示される(会期中、一部作品の展示替えあり)。

なお、平山郁夫は、1930年広島県瀬戸田町(現・尾道市)生まれの日本画家。前田青邨に師事後、日本美術院を舞台に活躍し、1998年には文化勲章を受章した。仏教やシルクロード、世界の文化遺産などをテーマに、東西文化の交流史を壮大なスケールで描いた作品を多数発表。人類の悠久の歴史をたどるその幻想的な絵画世界は、清寂な情感を持ち、今もなお多くの人々の共感を呼んでいる。また原爆の後遺症に苦しめられる中で平和への祈りを作品に込め、未来への希望を紡ぎ出そうとした。