ビジネスパーソンが利用する“ファイル”の管理をとことん追求
──ウェイズジャパンの「Fileforce」とは、どのようなサービスでしょうか
関根氏 大まかな分類としては「クラウドストレージ」ですが、Dropboxのようなコンシューマ向けサービスではなく、エンタープライズに特化したサービスです。
よくあるファイルサーバやストレージサービスというものは、ファイルを格納する“場所”を提供するものにすぎません。容量単価を小さくできることを売りにした“場所貸し”がほとんどです。
私たちが注目しているのは場所ではなく、ファイルです。ストレージ部分は既存のパブリッククラウドサービスに任せて、ファイルを便利に使えるようにするツールを提供しています。
──その“ツール”とはどのようなものですか?
ウェイズジャパン 代表取締役 関根文彦氏 |
関根氏 例えば、サービス上に格納されたドキュメントファイルは、“ダウンロードすることなく閲覧する”ことができます。PowerPointやWord、Excel、PDFといったドキュメントファイルをFileforceに格納すると、自動的にプレビュー用の画像データが作成されます。ユーザーはいちいちファイルを開くことなく、デバイスに依存することもなく、プレビュー画面だけで内容を確認できるというわけです。
ファイルサーバなどでは実現が難しい“きめ細やかな検索機能”というのも特長の1つです。プレビュー画像と同様に、ドキュメントファイルがアップロードされた時点で、自動的に解析して「タグ」を付与します。また同時に、ドキュメントに添付された元画像など、関連性の高いファイルを抽出することもできます。
ほかには“共有”の機能があげられます。資料や見積などのファイルは、社内だけでなく、第三者と共有しなければならないケースが多々あります。例えば、GPS情報とリンクして、「ある場所に居なければファイルを閲覧できない」などというアクセス制御をかけることができます。相手がオフィスから離れたら、閲覧を禁止できるというわけです。
このほかに管理者向けとしては、ユーザーの操作ログをすべて記録して、セキュリティインシデントが発生した際などでも、確実に追跡することができる機能を搭載しています。これはスマートフォンでも簡単に使えます。例えば、「本橋さん」を選ぶと、「どこから」、「どんなファイルにアクセス」して、何をやったのかがわかります。
本橋氏 それはまずい(笑)
関根氏 これを話すと、社員は嫌がるようですね。とは言え、企業として守らなければならない部分は、Fileforceでしっかり実現できるということです。
──Fileforceユーザーは、どのような課題を抱えていたのでしょうか
関根氏 企業内には、さまざまな基幹システムやアプリケーションがありますが、最近までファイルをメインとしたシステムやサービスは「ファイルサーバ」くらいしかありませんでした。例えば外部にファイルを受け渡したい場合でも、メールに添付したり、CD-Rに焼いたりといった方法しかなかったのです。 一方で、スマートフォンやタブレットが急速に普及し、ビジネスに浸透していきました。すると、これらのデバイスからファイルへアクセスしたいというニーズが高まり、クラウドへ保存するという選択肢が必然的に浮上してきたのです。
しかし、企業内に存在しているファイルは非常に膨大で、しかも細やかな権限管理が必須です。あるファイルはある部門のスタッフしか閲覧できない、ある人は見るのはよいが、ダウンロードしてはいけないといった、アクセス制御を行わなければなりません。 現在のところ、そうした企業向けのファイル管理を実現できるクラウドストレージは少ないため、Fileforceを検討するユーザーは増えています。